あらゆる心理学の知識が必要

臨床心理学の「臨床」とは「実際に患者に接して、診療や治療を行うこと」という意味で、心理学は「科学的な手法によって人の心の動きや行動の仕方を研究する学問」とされています。

つまり、臨床心理学とは、心理学の知見を用いて、心の問題や行動上の問題を持つ患者の診療、治療を行うための学問ということになります。なお、心理学には人間の心理全般が対象となる「基礎心理学」と、個人の心理が対象となる「応用心理学」がありますが、臨床心理学は後者の分類になります。

臨床心理学では、あらゆる心の問題に対処できるようにするために、「知覚・認知心理学」「学習・言語心理学」「感情・人格心理学」といった個人に焦点をあてた心理学から、「社会・集団・家族心理学」「教育・学校心理学」「産業・組織心理学」といった家庭、学校、会社などでの集団心理に焦点をあてた心理学も学びます。

また、心の問題を解決するための聞き取りや支援の方法といった技法、精神疾患の知識、人体の構造と機能、病気の知識も学んで、心の問題の解決に役立てようとします。このように、臨床心理学はさまざまな心理学がベースとなっており、ある意味、個人を対象とした応用心理学の集大成とも言えるものなのです。

臨床心理学の基礎となる心理学【臨床心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史