グルコサミンは軟骨の構成部分

“グルコサミン”は、ブドウ糖にアセチル基が付いた分子量約180の小さな分子です。軟骨成分の1つであるヒアルロン酸は、グルコサミンとガラクトースが長くつながった大きな分子なので、グルコサミンも軟骨成分の1つといえます。軟骨が摩耗すると「変形性関節症」が起こります。グルコサミンを変形性関節症の治療に用いることは、1969年にボーネ(Bohne)というドイツの医師が最初に報告しました。その後、ヨーロッパを中心にグルコサミンの有効性を示す報告が数多く出され、1997年セオドサキス(Theodosakis)の著書『The Arthritis Cure』によって大ブレークしたのです。

グリコサミノグリカンを構成する二糖

しかし、2000年ごろから北米を中心に発表された治験やメタ解析(報告された治験を総合的に解析する手法)の結果、その有効性に疑問符が出されてしまった。残念ながらそれが現在の医学的コンセンサスになっています。ただし、現在でも変形性関節症に著効する薬物治療はありません。さらに、グルコサミンの効果を否定した報告は、進行した変形性関節症が対象だったのです。

一方、細胞や動物を用いた基礎的研究では、「グルコサミンによる抗炎症作用」「軟骨分解酵素の抑制作用」「動物モデルの変形性関節症の予防作用」が明らかにされています。また、大規模な疫学的調査では、グルコサミンのサプリメントを使用していた方の死亡率が低下していた、との結果が報告されました。しかも、グルコサミンには、「ストレス蛋白の誘導」や「オートファジーの活性化」といった抗老化作用があることが示されています。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功