2024年4月11日、不動産テック協会主催による第20回ビジネスマッチング部会が都内で開かれた。今回はリビングテック協会との合同開催で、アクセルラボ(東京新宿区)、アマゾンジャパン(東京都目黒区)、LIXIL(東京都品川区)、パナソニック ホールディングス(大阪府門真市)が登壇し、スマートホームやIoTをテーマに講演やパネルディスカッションが行われた。

画像提供=アクセルラボ

スマートホームサービス「SpaceCore」を提供するアクセルラボ・CTOの青木継孝氏は、スマートホームに対応する機器の種類が家電や住宅設備に留まらず急速に拡大していること、機器間の相互接続性を高める共通規格「Matter」への対応が海外ベンダーを中心に進んでいることを紹介した。加えて、利便性の追求だけでなく、セキュリティやヘルスケアなど生活における課題解決へとソリューションの軸足が移ってきている点を強調した。

LIXILのデバイス事業部 IoT事業推進室・室長の倉林慶太氏による講演では、同社は住宅のハードウェアだけでなく、IoTを活用したソフトウェアにも注力し、安価で簡単に設置・操作できるスマートホーム製品の開発を進めているという。

日本でスマートホームが普及しない要因として、費用、工事の煩雑さ、操作の難しさなどが挙げられる。LIXILはこれらの課題を解決すべく、月額無料の製品を投入。若年層の住宅購買者をターゲットに、パーソナライズ、インクルージョン、利便性を重視した商品開発を行っているという。

パナソニック ホールディングスのサービスクリエーションセンターの井上祐一氏は、同社の高いインターホンのシェアを活かしたサービス、2022年に不動産管理会社向けDXサービス「モバカン」、2023年12月にはマンション向けIoTサービス「まちベル」を紹介した。

これらのサービスでは、インターホンを起点に、共用施設予約や地域情報配信、家電サブスクなどの機能を提供。マンションにおける人と人、人と街の新たな繋がりの創出を目指している。サービス開発にあたっては、スタートアップ企業との協業にも積極的だという。

パネルディスカッションでは、今後の市場の伸びしろとして、ペット需要への対応やDX化の必要性が指摘された。一方、日本市場の伸び悩みの要因について、日本特有の住宅事情や海外の成功事例の不足、業界の古い慣習などが挙げられた。

住民へのメリットとしては、アマゾンジャパン AmazonAlexaインターナショナル事業開発本部・本部長の澤田大輔氏は、省エネや利便性向上による経済的な恩恵を述べる一方、快適性という心理的な価値も重視すべきと述べた。高齢者層への普及策について、Amazon側からビデオ通話や音声操作など分かりやすい機能を入り口に、徐々に便利さを体感してもらうアプローチの有効性が示唆された。

今後のスマートホームの本格的な普及のカギについては、DIYユーザーに加え、賃貸物件への標準設備化の必要性、高齢者層への浸透、若い世代から高齢の親への提案を促すサービスの可能性などについて言及があった。

パネリストからは、各社の立場を越えて、ユーザー目線に立った課題解決と価値提案の必要性が共通して述べられた。スマートホームの導入シーンに応じたソリューションの提供と、サポート体制の一層の充実化が求められている。