近年の国際社会において存在感が増している「グローバルサウス」と呼ばれる国々。早くから彼らに接近していた中国に比べ出遅れた感のある我が国ですが、ここに来て「猛追ぶり」を見せているようです。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、日本のグローバルサウス政策を伝える海外紙の記事を紹介。その政策の方向性を「評価できる」とした上で、今後の課題を考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本のグローバルサウスへの政策

海外が報じた日本のグローバルサウス政策

「グローバルサウス」という言葉がよく聞かれるようになりました。

グローバルサウスとは、アジア、アフリカ、中南米などの新興国・途上国を指す用語です。主に北半球に多い先進国との対比で用いられます。

今、岸田首相が訪問しているブラジルもグローバルサウスの国です。

このグローバルサウスに対する日本の政策について、サウスチャイナモーニングポストが5月4日に記事を書いていたのでご紹介しましょう。

日本、アフリカに「中国への対抗」をアピール

 

日本はここ数日、外交官トップによるグローバル・サウス(南半球)諸国をめぐる旋風的なツアーを行っている。

 

上川陽子外相は先週土曜日、アフリカ東海岸沖のインド洋の島国マダガスカルで10日間のツアーを開始し、経済協力と日本の「自由で開かれたインド太平洋」戦略について話し合った。

 

次いで月曜日にはコートジボワール、その翌日にはナイジェリアを訪問し、週末にはスリランカとネパールに立ち寄る予定だ。

 

シンガポール国立大学南アジア研究所の客員上級研究員でもあるジェイン氏は言う。

 

「中国の資金力と政治的影響力は絶大であり、日本がアフリカに対する中国の資金援助に匹敵することはできないし意図もない」

 

「しかし、アフリカに対する日本のアプローチは、慎重で、ニュアンスがあり、バランスが取れている」

 

中国の対アフリカ貿易額は昨年約42兆円に達し、日本の対アフリカ貿易額約3.6兆円の約12倍である。

 

しかし援助はより緊密にしており、中国が約6兆円の融資と援助を約束した翌年、日本は2022年にアフリカに5.4兆円を約束した。

解説

中国がアフリカへの経済援助を通じて、強力な影響力をもっていることは有名です。

それに日本も対抗・追随しているのです。こうして海外の新聞に取り上げられるぐらいにです。

その政策の方向性は評価すべき事だと思います。心配になるのは人的交流があるかどうかです。

経済交流、とくに金銭支援・物的支援を断る国はあまりありません。

しかしながら、それを人的交流に結びつけて初めて有機的な協力関係ができます。

たとえば中国はアフリカに対して「医療外交」を積極的に進めてきました。中国人医師が、アフリカの国々に派遣されてきたのです。

さらに、中国は文化面からのソフトパワーを使った外交政策も積極的にアフリカで展開しています。孔子学院の増加などが例です。

それに対して、日本の支援はお金に頼っている印象があります。

最初はお金に頼って関係を構築するのは仕方がないかもしれません。

しかし人の交流に結び付けていく必要があります。

特に用がなくても雑談できる、気軽に頼み事ができるような個人の関係、それは国際関係においても大事だからです。

これは日本側の人材の問題でもあります。残念ながら仕事・組織を離れて外国人と信頼関係を築ける日本人はとても少ないと感じます。

 

(『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2024年5月5日号より。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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