一応人間だけど、「不死身」すぎ?

 結婚を間近に控えたキャラ、若者を導く師匠キャラ、「かませ犬」ポジションのキャラ……などなど、フィクションによくあるいろんな「死亡フラグ」を打ち破り、しぶとく生き延びたキャラは特に印象に残ります。今回は、「死んだ」と思われたものの、生き残ったキャラを紹介します。

※この記事ではまだ放送されていない、TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season完結編』の後編のネタバレに触れています。

「死ぬ死ぬ詐欺」を繰り返すキャラとして特に有名なのは、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に登場するヒュンケルです。彼は敵組織「魔王軍」の軍団長のひとりでしたが、その後改心してダイたちの仲間として活躍します。ヒュンケルは体の丈夫さに定評のある「不死身キャラ」で、実際に心配する仲間に「オレは不死身だ」と言ったり、「不死身はヒュンケルの代名詞」とクロコダインに評価されたりしていました。

 そんなヒュンケルですが、あくまでも人間であり、実際には不死身の能力などはありません。それにも関わらず、作中では何度死にかけても復活します。死亡フラグが立つどころか、溶岩に飲み込まれても復活したり、ハドラーに胸を貫かれ「地獄の炎」を流し込まれても生きていたりと、死んでない方がおかしいと思う場面から蘇りました。

 最終決戦では、ヒュンケルはHP(ヒットポイント)が1の状態で最強の硬度を誇るオリハルコンの兵士たちと対峙し、無双する大活躍をしましたが、その後は力尽き眠りにつきます。最終決戦ということや、ヒムが眠る彼を見て泣いていたことから、ファンも「今回は本当に死んだのでは?」と思ったようですが、結局「疲れて寝ていた」だけで、エピローグでは旅に出るほど元気を取り戻している描写もあります。彼の魂の力は「闘志」でしたが、まさに闘う意志が肉体を凌駕していたのでしょう。

 ヒュンケルのように何度も繰り返してはいないものの、『遊☆戯☆王』に登場する城之内克也も、死亡したと思いきや生きていたキャラとして有名です。これはアニメ版の『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の次回予告、「城之内死す」が主な要因でした。城之内は、主人公・武藤遊戯のクラスメイトであり、実力はメインキャラたちにやや劣るものの、強運と度胸で活躍するキャラです。

「バトルシティ編」では、城之内はボスキャラの闇マリクと対戦しました。命を賭けた「闇のゲーム」のバトルで、城之内は闇マリクに追い詰められます。そんななかで登場したのが、アニメ第128話の予告「城之内死す」でした。

 予告ではヒロイン・杏子が「死なないで、城之内!」と必死に呼びかけますが、最後のタイトルコールでは、一変して冷静に「次回、城之内死す」と読み上げています。この予告はネット上で何度もネタにされるほどの人気です。勝負が決まる前に予告で死亡を宣告された城之内ですが、実際はどうだったかというと、敵の「ラーの翼神竜」の攻撃に驚異的な精神力で耐え、勝利寸前までいくものの、次のターンに移る前に力尽きてしまい敗北しました。しかしその後、一命は取り留められています。

「ネタバレ予告」かと思いきや、「嘘予告」だった「城之内死す」は、公式でもネタにされています。遊戯のライバル・海馬の声優を務める津田健次郎さんが『劇場版 遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』のトークイベントで予告のセリフを読み上げたり、2021年には次回予告時のカットをプリントしたTシャツが販売されたりなど、さまざまな出来事がありました。作品に触れていない人にも「城之内死す」が浸透したため、なんとなくのイメージで「途中で死亡するキャラ」と思われているようです。

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ファン「もはや死なせてあげてほしかった」

 キャラが容赦なく死んでいく人気作『進撃の巨人』に登場するリヴァイ・アッカーマンは、何度も死にかけながら最後まで生き残ったキャラです。巨人に支配された世界で「壁の外」を調査する「調査兵団」の兵士長を務めるリヴァイは、「人類最強の兵士」と目されるキャラでした。

 リヴァイは味方陣営の「最強キャラ」であり、頼れる上司という位置づけで、ファンの間では「かなりの死亡フラグ持ち」と見られていましたが、彼は並外れた強さで生き残り続けます。

「獣の巨人」との戦いでは、団長のエルヴィンや新兵たちが犠牲になり、リヴァイは敵を追い詰めるまで戦い続けました。そして因縁の敵・ジークの自爆に巻き込まれた際も、瀕死ながらも生存し、最終決戦にも参加します。最後の戦いでは、ファンからも「どこかで死ぬと思ってた」「仲間も部下も次々死んでたから、もう逆に死なせてあげてほしかった」といったコメントまで出ていました。

 そして、「見ていてくれたか?」と仲間たちにすべてが終わったことを報告した後、リヴァイは目を閉じる描写があり、死亡したかと思われました。しかし、エピローグでは車椅子に座っている姿が描かれ、生存が確認されています。最終話の出来事に付随して、アッカーマン家の「特別な力」を失ったのではないかと考察されていますが、それはそれで彼にとってはいい未来が待っているかもしれません。