せっかく改心した人物まで?

※この記事では『ONE PIECE』最終章のネタバレを含みます。

 最終章が連載中のマンガ『ONE PIECE』は、クライマックスに向け目まぐるしい展開が繰り広げられています。そのなかで、読者が胸を痛めたのは「いい人」キャラたちの死です。これまで死人が少なかった分、次々と善良な人物が死んでいく鬱展開に絶望的な気分になった人もいるでしょう。今回は、最終章で命を落とした心優しいキャラたちを振り返ります。

●守るべき市民に命を奪われたTボーン大佐

 海軍本部のTボーン中将(元大佐)は、死亡シーンも描かれないまま悲惨な最期を迎えました。「船斬りTボーン」の異名を持つほどの剣の実力者で、仲間には顔が怖いと言われています。しかし趣味は人助けで、一日百善をモットーに職務に励み、世界の平和や市民の安全を心から願う心優しき海兵です。

 腕を虫にさされた部下がいれば傷を心配し、自分の大切なマントを引きちぎって渡します。そして「今日も平和で世界が優しくありますように」と語っていました。また、「罪なき市民の明日は必ず私が守る」と泣きながら戦いに向かうなど、仲間や市民への愛にあふれる、作中屈指の「いい人キャラ」です。

 そんなTボーン中将は、第1082話で市民に殺害されたことが判明しました。四皇となった千両道化のバギー率いる会社「クロスギルド」が海兵に懸賞金をかけたことにより、貧困に苦しみ報酬を必要とした市民が殺人に手を染めてしまったのです。平和や市民の安全を1番に願い戦ってきたTボーン中将にとって、とても悲しい結末となってしまいました。

 犯人の風貌を見る限り、到底Tボーン中将を殺す実力があるようには見えないため、「正義の心のあまり市民に反撃できなくて死んだのかな」「相手を助けるためにわざと命を落とした可能性まである」と、その最期の真相にいろんな予想も飛び交っています。

●人間らしい心を手にしたミョスガルド聖を襲う悲劇

 天竜人のミョスガルド聖は、10年前奴隷を手に入れるため魚人島へ向かいましたが、その最中に船が難破しひとりで魚人島にたどり着くことになります。ボロボロな姿で威張った態度を取り続けるミョスガルド聖に対し、魚人たちは銃を向けました。

 しかし、その際にリュウグウ王国の王妃であるオトヒメがミョスガルド聖に覆いかぶさり、命を助けたのです。その後、オトヒメとの対話を経てミョスガルド聖は人間らしい心を手に入れていきました。

 そして「世界会議」にてオトヒメの娘・しらほしが、チャルロス聖に捕らえられ奴隷にされそうになっていたところを、ミョスガルド聖が守ります。その際にミョスガルド聖はチャルロス聖に危害を加えてしまい、その後、1086話にて魚人をかばった男として処刑されてしまいました。処刑を下したのは「神の騎士団」最高司令官であるフィガーランド・ガーリング聖で、「ゴミを庇うやつはそれ以下だ」と言い放っています。

 天竜人のなかで唯一まともな人格を持っていたミョスガルド聖を失ってしまい、希望の光が潰えてしまったと感じる人も多かったでしょう。彼が死んだことで人間と魚人の和平や、魚人が地上に住むといったかつてのオトヒメの夢も大幅に遠ざかった可能性もあり、SNSでも「惜しい人を亡くした」と追悼の声が相次ぎました。

●名君ネフェルタリ・コブラ、真実に迫り命を落とす

 アラバスタ王国第12代国王であるネフェルタリ・コブラは、麦わらの一味と行動をともにしていたネフェルタリ・ビビの父親にあたります。「国とは人」という考えを持ち、常に人民のことを考え国の統制に尽力してきた名君です。アラバスタ王国乗っ取りを目論んでいたクロコダイルから国が解放されたのち、病を患って車いすに乗っている姿が描かれていました。

 1054話でコブラ王殺害が報道され、はじめてコブラの死が明らかになりました。この時点では、革命軍のサボがコブラを殺害したとされていましたが、1084話でその真相が明かされています。

 世界会議に参加して五老星やイムとの面会の機会を得たコブラ王は、「ネフェルタリ家・女王リリィについて」「Dとはなにか」を質問した後、イムの命令によって五老星に殺害されることとなります。その場に乱入したサボに、「ネフェルタリ家もDである」ことをビビとルフィに伝えるよう託し、命を落としました。

 誰もが認める名君だったネフェルタリ・コブラの死に、ネット上では「ネフェルタリ家に受け継がれてきたものを、しっかりとビビへと受け継ごうとする姿がかっこいい」「本当に素敵な国王だった」と、その死を悲しみながらも称賛する声が多々出ています。1085話のタイトルが「”ネフェルタリ・コブラ死す”」だったため、「実は生きていた」という展開ももうなさそうですが、彼の遺志を継いだビビがどう動くか要注目です。