普段から健康には気を使っていたのに!

 漫画家の新月ゆきさん(@Shingetsu_yuki)は突如、頭全体を締め付けるような激痛に襲われます。なんとか救急車を呼んだものの、やがて昏睡状態に陥ってしまいます。目を覚ますと病室のベッドの上で、看護師からは、くも膜下出血が原因であることと、カテーテル手術を施されたことを説明されました。

 健康意識が高かった新月ゆきさんは、思わぬ病気が自分に襲いかかったことにショックを隠せません。さらにくも膜下出血の後遺症が心配になり、手足を順番に動かしますが、足を動かすことを看護師から止められてしまい……?

 新月ゆきさんが「くも膜下出血になり、自分で救急車に連絡したお話」としてX(旧:Twitter)に掲載した『くも膜下出血のラブレター』が話題です。いいね数は8.9万を超えており、読者からは「くも膜下出血の分かりやすい実体験ありがとうございました。これを読むと知識として身構えておくことができますね」「このマンガで早期対応ができる人がひとりでも増えますように」「実際に体験された方の声、感覚って貴重ですね!」などの声があがっています。

 新月ゆきさんは漫画家として活動しており、くも膜下出血で倒れた自身の経験をマンガ化した書籍『くも膜下出血のラブレター』既刊9巻がKindleにて公開されています。

 作者の新月ゆきさんにお話を聞きました。

ーー今作『くも膜下出血になり、自分で救急車に連絡したお話』が生まれたきっかけや、理由を教えて下さい。

 くも膜下出血になったことは、私の人生で衝撃的な出来事でした。日常が日常ではなくなったとき、今まで知らなかった発見や心の動きがあり、マンガに描いてみたいと思いました。

ーー実体験の貴重なエピソードを共有してくださりありがとうございます。今作を描くうえで気を付けた点や、こだわったポイントなどはありますか?

 気を付けた点は、くも膜下出血以外のエピソードを入れないことです。こだわったポイントは、当時の私の感情を丁寧に描くことです。くも膜下出血になったことで、日常が非日常になりました。退院すれば終わりだと思っていたけれど、実際は違いました。そのときの驚き、戸惑い、喜び、感動などを丁寧に描くことに、こだわりました。

くも膜下出血で倒れた女性の体験談『くも膜下出血のラブレター』第1巻 (C)新月ゆき

ーーたくさんの感想が寄せられています。特にうれしかった感想の声、印象に残った読者のコメントはありましたか?

 くも膜下出血など脳卒中になった方々、そのご家族・関係者にマンガが届いたときが、うれしいです。皆さまの経験談や思ったことを共有できたとき、「ああ! 届いたんだ!」とありがたい気持ちになります。

ーーKindleにて公開されている『くも膜下出血のラブレター』で続きを読むことができます。あらすじや見どころ、作品に込めた思いなどを教えて下さい。

 普段から健康に気を付けていた人間が、くも膜下出血になりました。今は、後遺症もなく過ごしていますが、そのときは突然きました。当たり前のように生きること、日常生活を過ごすことは素晴らしいことなのだと、体感しました。周囲の人たちの存在が、ありがたかったです。それを描こうと、心を込めて描いています。

ーー新月ゆきさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

 中学生の頃に読んだ、ライトノベルがきっかけです。キャラクターの深部の表現や、キャラクターの関係性を大好きになり、「私もこんな物語を描いてみたい!」と思いました。表現方法を小説ではなくマンガを選んだのは、もともと、絵を描いていたのが理由かと思います。

ーー今後、X(旧:Twitter)で発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

『くも膜下出血のラブレター』に関しては、完結するまで私の手元で育てるつもりです。完結したら、遠く広く広げて下さる方がいたら、お願いしようと思います。