異色のキャスティングや解釈違いの演出が火種に!

 人気マンガを原作としたアニメは、どうしても原作ファンから厳しい目線を向けられてしまうものです。最近では原作をリスペクトしたアニメ作りが当たり前になっているものの、ときには「なんかちょっとモヤッとする……」という意見も見られました。

 今回は炎上こそしなかったものの、一部の原作ファンにしこりを残すことになったアニメ化作品をあげていきます。

●作画や声優でモヤっとさせた『アイシールド21』

「週刊少年ジャンプ」連載のアメフトマンガ『アイシールド21』は、2005年4月から2008年3月にかけてアニメ化された作品です。

 制作を手掛けたのは「ジャンプ」アニメでおなじみの「ぎゃろっぷ」でしたが、作画に関しては一部から「(アメフトシーンの)迫力が足りない」といった声が聞かれました。原作の作画担当が『ワンパンマン』の村田雄介先生で、超絶技巧を駆使したド迫力シーンのオンパレードだったため、そのギャップでがっかりしてしまった人がいたのかもしれません。

 またメインキャラのヒル魔(蛭魔妖一)を演じたのが、本職の声優ではなく、お笑い芸人の「ロンドンブーツ1号2号」田村淳さんだったことも評価が分かれたポイントでした。声優初挑戦だったこともあり、特に序盤は初々しい演技を披露していたからです。ただし経験を積むことで演技力がみるみる上がっていき、最終的には絶妙なハマリ役として評価されています。

 アニメ版のストーリーは原作の途中までで終了しているため、もし今後「完全版」として再アニメ化されることがあれば、大きな話題を呼びそうです。

●解釈違いの演出にモヤモヤ?『チェンソーマン』

 2022年10月から放送された『チェンソーマン』も、一部の原作ファンをモヤモヤさせた作品といえるでしょう。『呪術廻戦』などの大ヒット作を手掛けるMAPPAが制作を担当し、TVアニメとは思えないほどの作画を実現しましたが、ちょっとした演出の改変によって視聴者の一部が荒れていました。

 例えば第1話では、主人公のデンジがゾンビの大群と戦う迫力満点のシーンをカメラを引いた構図にしていたり、「俺達の邪魔ァすんなら……」というセリフから「俺達」という部分が削られていたりと、原作から微妙に描写が変わっています。それ以外のエピソードでも、岸辺やコベニの戦闘シーンをめぐって「原作の演出意図からズレているのではないか?」という意見があがっていました。

 全体的なクオリティが申し分なかったとしても、「解釈違い」は原作ファンにとって死活問題です。現在制作中の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は、誰もが満足できる内容になっていることを期待しましょう。

●過激なシーンが放送されずモヤっと……『ゴールデンカムイ』

 2024年1月に公開された映画『ゴールデンカムイ』は、原作マンガの内容を忠実に再現したことによって、実写化作品として大成功しました。その一方で、2018年4月から始まったTVアニメシリーズの方は、微妙な評価を下す原作ファンも多いようです。

 というのもTVアニメ版では、過激な内容のエピソードがいくつもカットされています。具体的には、杉元佐一の残虐な一面が遺憾なく発揮された「偽アイヌ村事件」や、動物をこよなく愛する異常性癖者、姉畑支遁の姿を描いた「支遁動物記」などです。

「支遁動物記」は「アニメDVD同梱版」でOAD化されたものの、「偽アイヌ村事件」に至っては完全にカットされてしまいました。もともと「衝撃的すぎるためアニメ化できない」とウワサされていたエピソードなので、ほとんどの原作ファンは仕方ないと受け入れているものの、それでもモヤっとしてしまう部分はあるようです。

『アイシールド21』に『チェンソーマン』、『ゴールデンカムイ』は、いずれも原作コミックの熱狂的な人気があるため、機会があればアニメ版と見比べてみることをオススメします。