「LRボタン」が壊れるのは、もはや運命?

 本体上部の「LRボタン」といえば、「スーパーファミコン」や「ゲームボーイアドバンス」、「ニンテンドーDS」といったゲーム機でおなじみの存在です。デザイン上はあまり目立たない位置にあるものの、プレイにおいては重要な役目となることも多いボタンです。コントローラのLRボタンだけが壊れてしまうのは、ゲーム好きにとっては日常茶飯事でした。

「LRボタン破壊ゲーム」としてトップレベルの知名度を持つのは、数々のハードで名作タイトルを生み出した「太鼓の達人」シリーズです。『太鼓の達人』は2001年に誕生した「和太鼓リズムゲーム」で、ゲームセンターの常連です。アーケード版では、画面上に流れる2種の音符玉「ドン」と「カッ」に合わせて、バチで太鼓を叩きます。

「ニンテンドー3DS」、「Nintendo Switch」といったゲーム機では「カッ」のボタン操作をLRボタンに設定する人が多く、プレイする際はLRボタンの連打がほぼ必須です。フルコンボを目指して集中していると、LRボタンを押す手に無駄に力が加わってしまい、壊してしまう例も少なくありません。

 ほかには、2002年に第1作が発売された「ロックマンゼロ」シリーズも、ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSの「LRボタンの故障」につながるタイトルです。「ロックマンゼロ」シリーズはダッシュ、壁蹴り、武器の使用といった、高いテクニックを要するハイスピードなアクションが特徴です。

 本作においてのLRボタンは、フィールド上での「ダッシュ」や、「サブウェポンの切り替え」を担っています。なかでも、ダッシュをする際に長押しするLボタンは、動作不良を起こしやすい傾向にありました。Lボタンが使えなくなった時の応急処置として、ほかのボタンに機能を割り当てることもできました。しかし、Lボタンでの操作に慣れてしまい、別のボタンでの操作になじめず、修理に出すはめになることも珍しくありませんでした。

 1992年に発売され、スーパーファミコンのソフトとして大ヒットを記録した『ストリートファイターII』は、LRボタンが壊れる格闘ゲームの代表例です。本作は初代『ストリートファイター』から、ボタン操作が大きく進化しました。攻撃の強弱を別ボタンに分けることで、コンボの幅が広がり、コマンド入力によって技を繰り出すシステムを確立させました。

 ボタンの使い分けが勝利への鍵となるのですが、スーパーファミコン版では、「強パンチ」と「強キック」を繰り出すコマンドがLRボタンに割り振られています。そのため、早く相手に大きなダメージを与えたいがために、プレイヤーはLRボタンを連打しました。そして、LRボタンに負担が蓄積した結果、反応が悪くなって、最終的に使いものにならなくなるのでした。

 同様の経験をした人からは、「使い過ぎてRボタンがめり込んで戻らなくなった」「本当は良くないけど、父親に頼んで分解して直してもらった」といった思い出を語る声が見られました。

 A、B、X、Yといったボタンに比べると、存在感が薄く感じられる「LRボタン」ですが、作品によっては重要な活躍をしたボタンでもありました。アクションゲームにおいて、「連打」は欠かせないテクニックのひとつです。コントローラのボタンは「消耗品」ととらえるべきだったのでしょうか。