今週放送中の『ブギウギ』(NHK総合)20週「ワテかて必死や」では、「東京ブギウギ」が大ヒットし、日本中が福来スズ子(趣里)に熱狂するなか、思わぬところから思わぬ反応が起こる様が描かれている。雑誌記者の鮫島(みのすけ)がスズ子の発言に悪意ある誇張を施した記事を読んだ、有楽町界隈の“夜の女”を取り仕切る通称「ラクチョウのおミネ」(田中麗奈)がスズ子の楽屋に怒鳴り込んできた。本日2月15日放送の94話で、スズ子はおミネと直接話し合いたいと、彼女らの住処を訪ねた。

 最初はスズ子に対して敵対心をむき出しにしていたおミネだったが、母・ツヤ(水川あさみ)を亡くし、弟・六郎(黒崎煌代)を戦争で亡くし、最愛の人・愛助(水上恒司)を亡くし、乳飲子の愛子を育てながら日々必死に歌って生きているスズ子の来し方を知り、心を許すようになる。スズ子のモデルである笠置シヅ子さんと、当時笠置さんに熱狂する“夜の女”たちとの間に温かい交流があったという史実をアレンジして作られたエピソードについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

戦争を必死に生き抜いてきた者どうしだからこそ生まれる「共感」

「笠置さんがこうした女性たちの相談に乗ったり、その後も長く友情が続いたという実話がとても素敵なので、ぜひとも組み込みたいと思っていました。ドラマ的には、仲良くなるまでの過程が大事だと考えました。一度はおミネからスズ子への誤解があって、そこをとっかかりに仲良くなっていくのがよいのではないかと。スズ子もおミネも、互いに胸襟を開いてみれば、みんな戦争という時代を必死に生き抜いてきた者どうしだということがわかる。だからこそ生まれる『共感』をきっかけにしたいと思いました」

田中麗奈の芯の強さが、おミネ役にぴったり

 また、おミネを演じる田中麗奈の起用理由と、その魅力についてたずねると、

「チーフ演出の福井(※編註 福井充広さん)が以前、別の作品で田中さんとご一緒させていただいていて、『この役は田中麗奈さん以外いない』と切望していまして、僕もおミネの芯の強さにぴったりだと思いました。田中さんが戦後の映画や資料を見て、当時の女性たちについて大変熱心に勉強してこられたことが心に残ります。衣装合わせにも長い時間をかけて、おミネというキャラクターを丁寧に作っていきました。難しい役なので、クランクインの時には緊張されていましたが、情の深さを強く意識して、見事におミネを演じていただけました」

 と語った。さらに94話の、スズ子とおミネたちの対話のシーンについて、

「ワンテイクで色々な表情を撮っているのですが、長いお芝居のなか、スズ子とうまくキャッチボールができて、おミネの表情に『わかる』という共感が宿るところが素晴らしかったですね」

 と絶賛した。これからも、共鳴して鼓舞しあうスズ子とおミネの関係から目が離せない。

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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜〜土曜 前8:00〜8:15/(再)後0:45〜1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45〜5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜〜金曜 前7:30〜7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜〜金曜分を一挙放送)

(まいどなニュース特約・佐野 華英)