ドライバーに欠かせぬ高速照明:

 高速道路は区間によってさまざまな違いがあるが、そのひとつに照明の明るさがある。夜間やトンネル内を走る場合、高速道路の路肩やトンネル上側の照明の明るさがドライバーを助けてくれる。

 高速道路の照明は意外と重要で、照明がよいからこそドライバーは夜間やトンネル内でも明るい昼間とほぼ同じように運転できる。筆者(ズバリ英朗、道路ライター)としては、照明の明るさは区間によって本当にさまざまだと感じる。明るい区間はいいのだが、走っていて暗く感じる路線や区間も多い。

 この高速道路の明るさの違いはどうにかならないものかといつも思う。現状でドライバーにできることはないのだろうか。照明対策には、管理者とドライバー、

「双方の意識と行動」

が不可欠だと感じている。

 そこで今回は、高速道路における照明の明るさの違いとその対策について“ズバリ”指摘していこう。今後の高速道路ドライブの参考にしていただければ幸いだ。

高速道路(画像:写真AC)

都市部と山間部での差

 照明の明るさの違いがわかりやすい路線がいくつかある。筆者が愛用している中央自動車道(中央道)は、東京都杉並区の高井戸インターチェンジ(IC)を起点に、八王子市の八王子ICまでを首都圏の大都市近郊区間として設定している。

 上記区間は、東京の市部を走る日本有数の都心区間である。車の交通量も多く、路肩の照明の間隔が短く明るいことに加え、高速道路沿いの明かりもあり、夜間走行でも十分明るい。

 八王子ICを過ぎると、中央高速は山間部に入る。景色は都市部から山々へと変わり、路肩の照明の数や間隔は高井戸ICから八王子ICまでの間と比べると明らかに少なくなる。高井戸ICから八王子ICまでの区間と比べると、路肩の信号の数と間隔が明らかに少ない。夜間走行は可能だが、明るさは若干暗く感じる。

 他の路線でも都市部と山間部では交通量や沿道の明るさに差があるが、特に中央道はその差が如実に感じられる。

 新名神高速道路(新名神)は近年順次開通した路線で、現在は基本的に全線に明るい照明が設置されている。なかでも、大阪府高槻市の高槻ICから兵庫県神戸市の神戸ICまでのトンネルは、非常に明るい印象がある。照明の設置間隔もさることながら、おそらく、トンネル内を照らすには十分すぎるほどの質の高い照明が使われているのだろう。

 日本の国土の約7割は山間部といわれ、トンネルの数も他の先進国の高速道路に比べて多い。そんなトンネル内の明るさの違いは、さまざまな路線や区間を走行していると、はっきりと感じられる。

高速道路(画像:写真AC)

照明格差の理由

 なぜ、区間ごとに照明の明るさがこれほどはっきりとわかるほど違うのか。一番の理由は、都市部と山間部では交通量に差があり、それにともなって照明の設置間隔が変わっているからだ。

 また、日本の高速道路は半世紀以上の歴史があるため、高速道路創成期に開通した

・東名高速道路(1968年)
・中央道(1967年)

のように、照明の明るさが十分でない区間もある。

 逆に、新東名高速道路(新東名)や新名神の近年開通した路線は、過去の経験とノウハウ、そして時代とともに進化した照明技術により、全体的に明るく、走りやすい設計になっている。

 特にトンネルの明るさには目を見張るものがある。新東名や新名神は構造上トンネルの数が多く、何度もトンネルを走るワクワク感を味わえるのが心地よい。

 ただ、近年開通した路線の明るさがよすぎて、昔ながらの路線の暗い照明に難儀することがあるのも事実だ。筆者は最近、歴史的な道路や夜間のトンネルを走る前に、冷静に対処法を考え、また運転するようにしている。

高速道路(画像:写真AC)

自動車技術の進化

 暗い区間は、明るい照明に取り換えたり、照明の間隔を短くしたりしたいところだが、工事費や工事日時の関係で、なかなか改善されないところがほとんどだ。

 このような場合、ドライバーは現状でできる最大限の明るさ対策をとるしかない。ドライバーには、夜間走行や前方が見えにくいトンネル内でも、安全でスムーズな運転が求められる。

 ドライバーにできる明るさ対策は、ライトの活用である。明るい場所を走るときはロービームでいいが、暗い場所を走るときはどうすればいいのか。答えは、ロービームよりも明るいハイビームを積極的に使うことだ。

 実は道路交通法では、夜間走行で照明や外光が不十分な場合はハイビームを使用するよう定めている。ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームの正式名称は「走行用前照灯」である。

 高速道路の暗い区間を走行する場合、対向車や周辺車両がいないときはハイビームを使用し、対向車や周辺車両がいるときはロービームに切り替えるのが望ましい。

 近年は、前方の状況に応じてハイビームとロービームを自動で切り替える「オートハイビーム機能」を装備した車もあるので、装備している場合は積極的に活用したい。