箕輪町地域おこし協力隊員の高橋寛充さんと妻オクサナさんが5月4日・5日、11日・12日の4日間、カフェ「VINCULO(ヴィクロ)」を箕輪のシェアキッチン形式のカフェ「わきみち」(箕輪町八乙女)で開いた。(伊那経済新聞)

 高橋寛充さんと妻オクサナさんがメキシコ、ロシア、ウクライナの家庭料理を提供

 メニューは2人が以前暮らしていたメキシコで親しんでいたメキシコ料理の朝食セット、オクサナさんの故郷であるウクライナやロシアのスラブ料理(ロシア、ウクライナ、ベラルーシの家庭料理)を提供した。店名「VINCULO」はスペイン語で「つなぐ」を意味する。

 なかなか味わえない異国の家庭料理が食べられるとあり、4日間で92人が来店。子ども連れの家族からシニア層まで、さまざまな世代でにぎわった。

 普段は木の香りが漂う落ち着いた雰囲気の「わきみち」が、パイナップルや色とりどりのバナー、ウクライナやメキシコの写真で装飾され、メキシカンミュージックが流れる異国情緒あふれる空間に変わり常連客を驚かせた。

 「わきみち」は箕輪町地域おこし協力隊OGの太田清美さんが昨年11月に開業したカフェで、シェアキッチンとギャラリーから成る。ゲストハウスとして宿泊にも対応できるよう、仲間らと共にDIYで整備も進めている。「暮らしと出会いとワクワクを。脇道を進んだってそれもいいよ。そこで出会えることもある」をコンセプトに掲げ、脇道を前向きに捉えて楽しむことを提案する。今回のイベントについて、太田さんは「場を作ることや人と人とがつながっていく様子を見られることが何よりうれしかった」と振り返る。

 太田さんの自宅近くに住むという松本五郎さんは妻と来店。「メキシコ料理のオムレツのセットを頼んだ。ボリュームが多くてびっくり。食べたことのないワカモレ(アボカドを使ったソース)にウクライナ料理のバリニキ(ウクライナ料理で小麦粉の皮で具材を包んだギョーザのような食べ物)も味わった」と言い、テイクアウトも注文し異国料理を楽しんでいた。

 町内から訪れた南朋子さんはボルシチとケーキを注文。「ボルシチは家庭料理の優しさを残しつつ、自分にはまねができないプロの味で満足。具だくさんで、寒い長野の冬にまた食べたい」と感想を述べる。「ボリューム満点で、おなかがいっぱい。それなのにナポレオンケーキもおいしくて、ペロッと食べてしまった」と満たされた様子で店を後にした。

 料理を提供した高橋さん夫婦は「準備がとても大変だった。食材や食器などいろいろな店を回ってそろえた。特に食材は良いものを使いたいと思い、生クリームは最終的に自分たちで作るほどこだわった。店主の太田さんの知り合いもたくさん来てくれ、『VINCULO』の店名の通り、人が人をつなぐ様子を目の当たりにすることができた」と振り返る。

 高橋さんは「地域おこし協力隊員として今後も地域の憩いの場になる空間作りを行うとともに、将来は国際交流の場や外部と地域がつながるようなカフェの運営を目指し、活動を続けていきたい」と意欲を見せる。