鳥取の宇倍神社(国府町宮ノ下)で4月21日、「御幸祭」が開催される。(鳥取経済新聞)

 麒麟獅子(きりんじし)

 御幸祭は1881(明治14)年から続く、神様の御分霊をみこしに乗せ、氏子各地を巡る神事。大みこしの重さは約2トンあり、西日本でも有数の大きさを誇る。さらに、全国でも唯一の因幡地域で見られ、2020年に国の重要無形民俗文化財に指定され、日本遺産となっている麒麟(きりん)獅子舞も同祭りで執り行われる。

 「今ではみこし担ぎが行われているが、実はみこし担ぎは昭和40年代、世の中が農家からサラリーマン世帯へ変化した高度経済成長期に平日みこしを担げる人がいなくなったことで中断されていた」と同神社権禰宜(ねぎ)の小森泰治さん。「実はみこし担ぎは長い間行われておらず、再び御幸祭でみこしが担がれるようになったのは最近(2007年)のこと。時代の変化や地域の課題によって、こうした伝統行事を続けていくことの難しさを感じている。それでも地域の人たちが集まり、再び地元の伝統文化を守っていこうとしてみこし会が立ち上がり、現在に至る」とも。

 「今は御幸祭の準備中だが、休みの日を使って皆が一生懸命に練習している。大人も子どももこの祭りのために準備していて、その姿は本当に目を見張るものがある。そこに迫力と歴史のあるみこしや麒麟獅子舞が合わさることで、必ず素晴らしい祭事になるはず。最近は、実行委員会の人たちが地域の高校などにも呼びかけ、高校生が祭りに参加してくれる。地域全体で作り上げている面もあり、多くの人の協力で成り立っているこの祭りの大切さを感じている。祭事を執り行う神社として、格式や凛とした姿を感じてもらい、『宇倍神社はやはりいい神社』『この神社だから、この祭りを頑張れる』などと思ってもらえるよう日頃の行いを意識したい」と意気込む。

 例大祭は前日の宵宮、当日の例祭、御幸祭から成る。御幸祭は21日10時からの予定。