人生100年時代を迎え、会社員でいうと定年退職後の期間が長くなっている。 あなたは何歳まで働き続けるか、決めているだろうか? 経済状態や人生観は人によって異なるので、答えは1つではない。

いわゆる「アクティブシニア」として余生を謳歌する人がいる一方、定年を過ぎてなお働き続ける人もいる。

この記事では、定年退職後の選択肢と、定年後に活用できる給付金制度も解説する。

まずは日本人の平均寿命から逆算して、セカンドライフの期間がどのくらい残されているのかを見ていこう。

■平均寿命は80代

日本人の平均寿命(令和4年時点)は、男性が81.05歳、女性が87.09歳だ。

さらに、WHOが2022年のデータを元に発表した男女合計の平均寿命の世界ランキングでは、日本が1位で84.3歳だった。

仮に65歳で定年退職した場合、セカンドライフは20年ほどある。それだけの長い期間があることを考えると、65〜69歳の半数以上が働き続けている状況にも、納得するだろう。

■選択肢1.再雇用で安心の環境を

定年退職後の生き方として、まずは再雇用を挙げたい。再雇用はそれまで勤めてきた会社の制度を活用し、引き続きその会社で働く方法だ。

再雇用の場合、現役時代に比べると給与が低くなることがほとんどだ。しかし、勝手を知っている職場環境で、よく知る仲間と働き続けられる点は魅力的と言えるだろう。

■選択肢2.再就職でアグレッシブに

60代になっても、もっとアグレッシブに働き続けたいと思う人には、再就職という選択肢もある。他社に移り、これまで働いてきた経験を生かすということだ。

たとえばコンサルタントであれば、長年のキャリアの中で培ってきた豊富な経験や知識を活かし、顧客の課題を多角的に分析し、解決にあたることができるだろう。

■選択肢3.引退でセカンドライフを楽しむ

引退してセカンドライフを存分に楽しむ、というのも一つの手だ。経済的な余裕があることが前提にはなるが、会社人生から一転、趣味に没頭するのもいいだろう。

仲間と楽しみたいのであれば、現役時代のうちから趣味のサークルに入るなどしてコミュニティを見つけておくといい。

■定年後働くのであれば知っておくべき給付金は?

主に60代以降で働く人が対象となる給付金として、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2つがある。どちらも企業側が、管轄の公共職業安定所に申請することで受け取れる給付金である。

●高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の被保険者で、以下の条件を満たす場合に受給できる給付金だ。

・再雇用で働き続ける
・定年後にすぐ再就職する
・賃金が60歳時点に比べて75%未満である
・60歳以上65歳未満の一般被保険者である
・雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある

ハローワークへの支給申請により、各月に支払われた賃金の最大 15%の給付金が支給される。支給期間は、60歳になった月から65歳になる月まで最大5年間となっている。

●高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金は、60歳以上で以下の条件を満たす場合に受給できる給付金だ。

・失業保険を一部受給中に再就職した人
・雇用保険の加入期間が5年以上ある人
・再就職した際の賃金が退職前の賃金より75%未満
・失業保険の支給残日数が100日以上残っている
・再就職した際に1年以上雇用される

支給期間は、失業保険の支給残日数により異なる。失業保険の支給残日数が100日以上200日未満の場合は最長で1年間、支給残日数が200日以上の場合は、最長で2年間受給可能だ。

■心と体の準備を

「自分が本当に望むセカンドライフ」とはどのような生活か、じっくりと考え心の準備をしておきたい。ただし体が資本であることは現役時代と変わらないので、適度な運動で鍛えておくべきだろう。

しっかりと準備すれば、セカンドライフを現役時代とは違った楽しみがある、ワクワクするような期間にできるかもしれない。

文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー)
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャルプランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。