【乗っちゃえNISSAN】GT-R、フェアレディZ、車中泊用キャラバン…自動車ライターが“注目の日産車”を一気乗り!「試乗レポート」の画像一覧
先日都内某所で行われた「日産オールラインナップ試乗会」。電気自動車や軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、スポーツカーと幅広く日産車を体験できる……「こんな絶好の機会はない!」ということで参加してきました。注目車両をいくつかピックアップし、試乗レポートをご紹介していきます。
スポーツカー編
日産の、というかスポーツカー界のレジェンドといえるのが、この2台。エコカー全盛のご時勢に、なんだかんだいいながらGT-RとフェアレディZを作り続けてきた日産って、クルマ好きからしたらやっぱり大したものだと思う。
GT-R
2007年の登場から早17年の歳月が過ぎたR35型のGT-Rは、今回の2025年モデルがついにファイナルモデルになるとアナウンスされた。そして、極め付けといってもいい最終進化形態がGT-R Track edition engineered by NISMO T-specだ。
GT-R Track edition engineered by NISMO T-specは、日産のレース部門であるニスモが手掛けたチューンドモデル。お値段は聞いてびっくりの3000万円超え(3008万5000円〜3061万3000円)だ。もっともベースモデルとなるGT-Rでも1444万3000円〜2289万1000円だから、簡単に買えるクルマでないのは同じ。
GT-R Track edition engineered by NISMO T-specは見た目からしていかつい。ルーフやボンネットなどカーボンパーツがてんこ盛りで徹底した軽量化が施されているのだ。リヤウイングのデカッ羽根ぶりも超本気モード。室内だってゴリゴリのカーボンフルフルバケットシートでリアルグランツーリスモ状態だ。
搭載されているVR38DETTエンジンは歴代最強。2007年の登場時は353kW/588N・mだったが、現在では419kW/637N・mにまでパワーアップされている。残念ながらそのパフォーマンスは、都内一般道の試乗くらいではとても計り知ることはできないのだった。アクセルペダルを踏み込むと猛烈な加速が立ち上がる。調律されたエキゾーストノートや強力なブレーキはサーキットに持ち込んで思う存分楽しみたいところだ。細かな振動を拾うダイレクト感のある乗り味もそれなりの覚悟が必要かもしれない。
フェアレディZ
一方のフェアレディZもまた、日本を代表するスポーツカーとして1969年の初代誕生から進化を続けてきた。スポーツカーのキモはなんといってもカッコよさ。初代S30型へのオマージュをもって2022年に登場した現行モデルを見れば、「スポーツカーといえばやっぱりZでしょ!」と、きっと誰もが納得するんじゃないだろうか。フロントノーズやファストバックスタイルのリヤシルエットなど往年のファンにはたまらないだろう。
フェアレディZの室内はタイトな2名乗車。ダッシュボード上に歴代のフェアレディZが継承してきた伝統の3連サブメーターを備えている。トランスミッションは6速MT。今やGT-Rもオートマ(2ペダル)だからこれって結構重要だ。やっぱりスポーツカーはマニュアルシフトしないとね。走り好きなら心踊るポイントだろう。
クルマとの一体感が楽しめる走りがフェアレディZの大きな特徴でもある。GT-Rにはない軽快なフットワーク、FR駆動らしい素直なステアリングフィールが楽しめる。最近流行りの背の高いSUVたちの間を縫ってキビキビと走る気分は爽快この上ない。
そんなわけでフェアレディZは発売当初から注文が殺到。現在は受け付けが一時停止になってしまっている(2024年4月現在)。プレミア必至のスポーツカーだ。
電気自動車編
日産のお家芸ともいえるのがEV(電気自動車)である。
サクラ
日産EVの中でも売れ筋No.1が軽自動車のサクラである。というか日本一売れている。2023年度には国内販売台数3万4083台を記録して、2年連続で販売台数トップを獲得。EV販売の5台に1台がサクラなのだとか。2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞していて専門家の評価も高いのだ。
軽自動車というと安っぽいクルマを想像するかもしれないが、サクラのクオリティの高さは目を見張るものがある。インテリアは運転席前に7インチと9インチのディスプレイが並んだ先進的なデザイン。さらに随所にファブリックをあしらって上質な佇まいを演出している。ソファ感覚のシートはフワッと上々の座り心地だ。モダンな狭小住宅のような居心地の良さを感じさせてくれる。
サクラの走りは当たり前だがモーター駆動なので、ガソリン車のような振動や騒音とは無縁だ。高級車のような静けさと滑らかさで気持ち良く走ってくれる。モーター走行は静かなだけじゃなくて、トルクの立ち上がりがダイレクトなので街中でもキビキビと小気味良く走らせることができる。
アリア
EVをもう1台。流麗なクロスオーバースタイルを身にまとったアリアにも乗ってみた。
アリアのインテリアもこれまた近未来的だ。ダッシュボートは従来のような物理スイッチがなく、クルマの電源をオンにすると操作系アイコンが浮かび上がる。アイコンはタッチセンサー+ハプティクススイッチ。振動によって入力をフィードバックしてくれるので、運転中のブラインドタッチでも操作感が分かりやすい。
モーター走行ならではのレスポンスに優れた走りは滑らかでなかなかの心地良さ。アリアに採用されているモーター4WD「e-4ORCE」は、前後に合計2基の電気モーターを搭載していて、前後トルクを緻密にコントロールしながらブレーキ時などの車体の揺れを抑える制御まで行ってしまうスグレモノ。コーナリング時も前後のトルク配分を適切に調整し、ブレーキを4輪個別に制御しながら滑らかで走りを提供している。長時間のドライブも快適に過ごせることだろう。WLTCモード610kmという航続距離(B9 e-4ORCE)も頼もしい。
EV購入の大きなハードルがある。割高や価格や充電などの利便性の問題だが、価格に関しては国や自治体の補助金、エコカー減税といった手厚いサポートが受けられる。サクラ(車両価格254万8700円〜)の場合、補助金総額126万5600万円(東京都在住の場合)+エコカー減税1万5600円、アリア(車両価格659万円〜)の場合、補助金総額159万8500円(東京都在住の場合)+エコカー減税4万8500円と、一気に購入のハードルは下がる。また、日産の販売店には充電スポットがあるので利便性も高い。気兼ねなく充電スポットを使えるのはありがたい。
近年、災害時に大容量バッテリーを搭載したEV(電気自動車)や電動車(e-POWER)を、非常用電源として活用する動きが広がっている。1500WのAC電源コンセントから家庭用の電化製品を長時間使用できるので心強い。
【アクテビティ編】
マルチなクルマの使い方を提案する日産のクルマたちをご紹介。
キャラバンMYROOM
日産NV350キャラバンは本来、宅配便や営業車、送迎車向けといった、いわばプロ仕様として開発されたクルマ。一方で、日産キャラバンの大きなボディを生かして、キャンプやサーフィンなどアウトドアレジャーに活用しているユーザーも少なくない。
キャラバンMYROOMは、車中泊用ベッドを備えた簡易キャンパー仕様。専用インテリアは、木目調パネルをふんだんに使うことで、まるで最近流行りのデザイナーズホテルのような雰囲気だ。ダウンライトや間接照明など光の演出も凝っている。肝心の車中泊ベッドは幅約1.2m×長さ約2m。立派なダブルベッドサイズなので、パートナーとの2人旅には最適だろう。
室内空間を自在にアレンジできるのもキャラバンMYROOMの魅力。シートやテーブルの組み合わせによって、リビングルームモードやベッドルームモード、ダイニングルームモードなど、さまざまな使い分けを提案している。ロールスクリーンを下ろせば、なんとシアタールームに早変わり。専用設計の後席シートがポイントで、簡単に多彩なアレンジができように考えられている。
一部の道の駅やRVパークなどにある外部電源にも対応しているので、バッテリー上がりを気にすることなくAC100Vの電化製品や停車時換気システムを稼働させることも可能。文字通りのMYROOM感覚だ。
キャラバン・マルチベッド
もう1台、キャラバン・マルチベッドは、高い積載性はそのままに車内での快適な休憩や宿泊のための機能を兼ね備えているのがポイント。
後部の荷室スペースの左右跳ね上げ式のベッドは、荷室全面に展開できるだけでなく、左右それぞれ独立させた状態で使用することもできる。片側にキャンプやスポーツで使う大物ギアを積載した状態で、車内で寝たり、腰をかけた状態で作業できたりするスペースになる。床面は硬質フロアパネルを装備しているので、バイクや自転車を搭載するなどタフな用途にも対応。
ちょっとくらい濡れたり汚れたりしても、さっとクリーニングすればOKだ。アウトドアでのスポーツやホビーのトランスポーターとして、テレワークの仕事部屋としてなど(脱着式テーブルを装備)、使用シーンに合わせてマルチに使いこなしてはいかがかだろうか。
アウトドアユースを前提に開発された、キャラバンMYROOMやキャラバン・マルチベッドといったクルマは、災害が起きたときの一時的な避難先としても活躍してくれるはずだ。
取材・文/近藤暁史