【人気すぎてチケットは即完売!】大相撲夏場所はこの力士たちがアツい!/豊ノ島が語る[MonoMaxお相撲同好会]

【相撲人気好調】チケットは即完売!元関脇・豊ノ島が解説「大相撲夏場所はこの力士たちがアツい!」/『MonoMaxお相撲同好会』の画像一覧

大相撲をこよなく愛する編集部スタッフたちが、さまざまな角度から大相撲の魅力をお伝えする新連載「MonoMaxお相撲同好会」。

記念すべき初回は、元関脇で現在はタレントとして活躍中の豊ノ島さんが登場! 5月12日に初日を迎えた夏場所の注目力士と場所の展望について伺いました。チケット販売開始からすぐに売り切れてしまうほど活況に沸く大相撲。お相撲ファンはもちろん、ビギナーの方も、夏場所がさらに楽しめるお話が満載です。(本記事は4月26日時点での情報を元に取材をしています)

豊ノ島さん

豊ノ島さん
本名:梶原大樹。1983年生まれ、高知県出身。2002年に時津風部屋に入門し、同年初場所で初土俵。最高位は東関脇。殊勲賞3度、敢闘賞3度、技能賞4度。2020年春場所で引退。
X:@toyonoshima0626
Instagram:@toyonoshima_daiki
オフィシャルサイト https://toyonoshima.com/

【1】スピード出世で小結に! 伸びしろが楽しみな「大の里」

豊ノ島 新入幕した今年の初場所で11勝して先場所でも11勝。しかも二場所続けて優勝争いに絡むという。まわりの期待も大きいですが、期待通りの成績を残していますね。

お相撲同好会 大の里関の強さの秘密は何でしょうか?

豊ノ島 まず、身長192cmという恵まれた体格ですね。そして前に出る圧力もあります。でも、まだ伸びしろがあると自分は感じています。土俵際で体の寄せ方に若干甘い部分があるんです。そこをこれから鍛えれば、勝てる力士がいなくなるかもしれません。そう思わせるほどの力を感じます。

お相撲同好会 “若干甘い部分”というところを、もう少し詳しく聞かせてください。

豊ノ島 相手に対しての距離の詰め方が甘くて、体が先に出ていっちゃうみたいな部分があるんです。だから、スピードのある小兵力士と対戦したとき、土俵際まで追い詰めたところでうまくかわされるという負け方が多いんですよ。相手が横に回ろうとしたときに、これまでは手だけで(相手に追いついて)いこうとするんですが、それを腰も一緒についてきて相手に密着できるようになれば、逆転技をさせないという完璧な状態になってくるんじゃないかな、と思います。

【2】センスは随一! 新入幕の「時疾風」

【人気すぎてチケットは即完売!】大相撲夏場所はこの力士たちがアツい!/豊ノ島が語る[MonoMaxお相撲同好会]

豊ノ島 自分が所属していた時津風部屋の力士にも注目しています。体は大きくないですが柔軟さはあるし、相撲のセンスは部屋の所属力士の中でも抜けていますね。

お相撲同好会 時疾風関のどんなところに相撲センスを感じていらっしゃいますか?

豊ノ島 相手との距離の取り方とか、うまく相手の圧力をかわすタイミングとかですね。あと、彼の相撲は投げが独特というか。上手投げと上手出し投げを合わせたような感じで、相手の力を利用して円を描くように投げるんです。相手の力をよく見て投げながら体を寄せていくみたいなところが巧いですね。ただ、センスが邪魔して不利になるようなことをしてしまったり、今のセンスではさばききれない圧力に屈してしまったりすることもあるのですが。

お相撲同好会 豊ノ島さんの弟弟子にあたりますが、時疾風関はどんな方ですか?

豊ノ島 あまり兄弟子の前で自分を出すタイプではないと思いますね。きっと照れ屋なんだと思います。でも、時々恥ずかしそうにしながら冗談を言ったりしますよ(笑)。

【3】来場所以降が正念場! 110年ぶりに歴史を塗り替えた「尊富士」(※1)

豊ノ島 やはり、先場所で優勝した尊富士は外せないですね。先場所は勢いに乗ったという部分もありながら、大関戦もしっかり勝って地力の片鱗を見せています。先場所のような相撲が取れれば、今後も星を伸ばしていけるのではないかと思います。彼の相撲は、前に出る圧力が強いです。具体的には、相手を挟みつけて一気に自分の中心に持っていく力が強いですね。

お相撲同好会 それは、腕力があるということでしょうか?

豊ノ島 腕力だけではなく、腕から腰にかけての動きがしっかりと連動しているように見えます。腕力も強いと思いますが、相手の芯をしっかり捉えて、自分の体をしっかり連動させて押しているという印象があります。そんな巧さと、新入幕らしく前に前にという動きがうまくハマッたのが先場所だったのかなと思います。

お相撲同好会 上位陣にもプレッシャーを感じずに相撲を取っていたように見えました。

豊ノ島 逆に、大関など役力士(横綱、大関、関脇、小結の総称)の方がプレッシャーを感じていたと思います。角界の新星みたいな感じで注目されている相手とはやりにくいですよね。自分たちは番付が上だから勝って当たり前という立場だけど、相手は失うものはない状況で思い切っていけます。ただ、それで先場所はやられてしまった役力士たちも、今後はそうはいかないぞと思っているはずです。それでも尊富士の勢いが上回った場合は、大関候補と言ってもいいぐらいじゃないかと思います。

お相撲同好会 豊ノ島さんも現役時代、そんなプレッシャーを感じたことがありましたか?

豊ノ島 僕らのころは遠藤がそうでしたね。彼はまだザンバラ髪で、「ザンバラ髪には負けませんよ」という気持ちでいったのですが負けましたから。でも、それ以降は自分が連勝したりしました。

(※1)本記事は4月26日時点での情報を元に取材をしています。5月9日に夏場所の休場を発表した尊富士関。活躍が楽しみな力士として豊ノ島さんが魅力を語ってくださいましたので、そのままの内容でお届けします!

【4】役力士の逆襲にも期待! “意地の夏場所”が幕開け!

【人気すぎてチケットは即完売!】大相撲夏場所はこの力士たちがアツい!/豊ノ島が語る[MonoMaxお相撲同好会]

お相撲同好会 最後に、夏場所はどんな場所になりそうか、展望を聞かせてください。

豊ノ島 初場所、春場所と若手力士が活躍することが増えていますが、かつて役にいた人間のひとりとしては、役力士が意地でも黙っちゃいないだろうと思います。夏場所は役力士の逆襲が見たいですね。そんななかで若手も世代交代だといわんばかりの活躍をしてほしいですね。ベテラン VS 若手という対立構造ができて、役力士がしっかりと若手の壁になり、優勝争いには横綱がしっかり加わっていて、誰か他の力士たちとデッドヒートをするような、締まった場所にしてもらえたらいいなと思います。

お相撲同好会 さらに盛り上がってほしいですね。

豊ノ島 役力士に意地を見せてほしいと言いましたが、若手が活躍するのも見たいんですよ。相撲の見方はいろいろあると思うんです。僕が現役の頃は、優勝はまず白鵬関でした。それに対して、今はいろいろな力士が優勝できる状況になっています。最初この状況を「これはちょっと締まらないな」と思っていたんです。でも、今は相撲ファンとして初日の前に「今場所は誰が優勝するかな」と予想するのが楽しくなってきちゃった自分がいるんです。群雄割拠というか、みんなにチャンスがあるのって面白いなと思うし、尊富士の優勝によって、夏場所はよりみんながヒーローになるチャンスがある場所になったと思っています。でもやっぱり、役力士が意地を見せて活躍してほしいかな。荒れた春場所の次は、「意地の夏場所」になってほしいですね。

お相撲同好会 役力士で特に注目されている方はいますか?

豊ノ島 朝乃山ですね(※2)。朝乃山の人気ってすごいんですよ。それも、将来への期待の大きさが人気に表れている感じなんですよね。もともと大関だったというのもあり、夏場所は三役に返り咲くのが決定的なので、期待はより大きくなっているように思います。

お相撲同好会 なるほど。他にはいらっしゃいますか?

豊ノ島 春場所で大関に昇進した琴櫻にも頑張ってもらいたいです。偉大なお父さんとおじいさんの存在もあり、大きな期待がかけられているなかで、それに応えて大関になったのは素晴らしいと思います。ですが、まだまだ自分を出し切れていないように見えるので、ここでもう一つ突き抜けて、初優勝を目指してほしいと思います。

お相撲同好会 琴櫻ファミリーのことまで思いを巡らせると、琴櫻により注目してみたくなります。

豊ノ島 相撲の見方はいろいろです。何かひとつ気になったことがあれば、それを掘り下げていけば、より相撲が楽しくなると思うので、この話もきっかけのひとつになってくれれば嬉しいです。

(※2)本記事は4月26日時点での情報を元に取材をしています。5月9日に夏場所の休場を発表した朝乃山関。来場所以降のご活躍を楽しみにしております!

インタビュー/金山 靖 撮影/坂下丈洋(BYTHEWAY)