インテックス大阪にて、3日間にわたり開催されたポップ・カルチャーの祭典「大阪コミックコンベンション 2024(以下:大阪コミコン2024)」。3日目の5月5日には、「大阪コミコン×MOVIE WALKER PRESS HORROR 大阪“怖(こわ)”コン」 ステージが行われ、清水崇監督や渋谷凪咲らが登壇した。

ホラー映画ファンに贈るこのスぺシャルステージ。第1部には、雑誌「DVD&動画配信でーた」の西川亮編集長らが出席し、ホラー映画の魅力や最新作についてトークセッションを行った。そして第2部には、「呪怨」シリーズ、『犬鳴村』(20)、『ミンナのウタ』(23)の清水崇監督と共に、最新作『あのコはだぁれ?』で主演を務めた渋谷凪咲、物語の鍵を握る、高谷さな役を演じた穂紫朋子が登壇。清水監督がキャスティングの理由などについて語った。

本作は、とある夏休み、補習授業を受ける男女5人が教室にいないはずの“あのコ”が巻き起こす怪奇をを目撃する学園ホラー。今回、映画初主演にして本格演技初挑戦となる渋谷凪咲が、夏休みの補習クラスを担当する臨時教師、君島ほのかを演じる。

ステージに登場した渋谷は初めに「今日はホラーを通して皆さんと涼やかな気持ちになれたらうれしいなと思います」と挨拶。続いて、清水監督が「テレビでも拝見していたんですけど、そんな涼しい声の人を自分の映画の主演に迎えるとは思っていなかったので光栄です」と、感謝の意を表した。

そして、渋谷を起用した理由を「僕は基本的に『呪怨』の時からそうなんですけど、ホラーに『まさかこの人が』っていう、意外なキャスティングが好きで。そうなるように仕向けていっているつもりです」と清水監督。「今回、渋谷さんがそれに当てはまっているかどうかなんですけど、多分、渋谷さん=ホラーっていうイメージはなかったと思うので、そこが狙いです」と、抜擢の理由を明かした。

すると渋谷は、「(自分は)映画のなかで1回も笑っていないですもんね」と、作中では“いつもとは異なる表情”になったことを告白。これに「ほぼ、そうですね」と頷いた清水監督は「僕も『渋谷凪咲から笑顔を奪ってやる』って言っていたもんね」と、撮影時を振り返った。

一番初めに撮影したシーンを振り返り、「教室を見回すというシーンがあったんですけど、(フワフワした口調で)『へぇ〜』って見回していたら、『ちょっとロケみたいになっちゃってる』って言われて」と、苦笑した渋谷。思いだした清水監督も「そうそう(笑)」と吹きだしつつ、「放っておくと情報番組かバラエティ番組みたいになっちゃうんだけど。誠心誠意やってくれて、真面目さがちゃんと映画に出ていたと思いますよ」と、その姿勢に太鼓判を押した。

さらに渋谷は「演技もあまり経験がないなかで、いままで監督とご一緒されてきた、実力がしっかりある皆さんと撮影させていただけたので、本当に安心しながら(演じることができました)。撮影が終わって改めて、自分の知らない自分にも出会えたなと…。『私ってこんな風に叫ぶんだ』とか、 『なるほど、パニックになったらこんなにドアにぶつかるんだ』とか。『こんな風な自分が出てくるんだ』というのを知れました。皆さんにもまったく想像できないような私を見ていただけるんじゃないかなと思います。ちゃんと、めちゃくちゃ怖いホラーに仕上がったなと思います!」と、力強く作品や自身の役柄についてアピール。

この言葉を受けて、清水監督は「(仕上がってはおらず)まだ編集途中なのですが…(笑)」とツッコミながらも、「渋谷さん演じる教師が、臨時の補習授業だけのはずで、ピンチヒッターとして学校にやってきたのに、とんでもないことに巻き込まれていく…というね」と、作品をわかりやすく解説していた。

取材・文/平井あゆみ