東京・豊島区に住む80代の女性が著名人をかたる人物からSNSで投資話を持ちかけられ、現金2000万円をだまし取られたことが分かりました。

警視庁によりますと豊島区に住む80代の女性は去年11月、著名なジャーナリストを名乗る人物からLINEで投資を勧誘する内容のメッセージを受け取り、紹介された別の人物の指示で指定された口座に暗号資産を購入するため、合わせて1000万円を振り込んだということです。また、その後「損失で3000万円の借金が発生した」などと連絡を受け、女性は自宅を訪れた男性や女性に2回にわたり、合わせて1000万円を手渡しました。しかし女性が「投資した金を引き出せるか」とメッセージを送ると、返答がなくなったということです。警視庁はSNS上で著名人に成り済ますなどした「SNS型投資詐欺」とみて詳しく調べています。

<去年上回るペースで急増…SNS型投資詐欺>

SNSでの勧誘をきっかけにした投資詐欺の被害が急増しています。

警察庁が全国の警察でSNSを使った投資詐欺を認知した件数と被害額の推移を月別にまとめたものを見てみると、去年(2023年)1月には件数が85件、被害額が8億6000万円でしたが、1年間で右肩上がりに増加し、去年12月には件数が369件、被害額が53億円と、どちらも急増しています。そして今年(2024年)に入ると被害はますます増え、3月には件数が746件、被害額は98億円余りとなりました。去年1年間は件数2271件、被害額約277億9000万円でしたが、今年は3月までの合計ですでに1700件、被害額は約219億3000万円と、去年を上回るペースになっています。

こうした状況を踏まえ、警察庁の露木康浩長官は5月20日、全国の警察幹部を集めた会議で「著名人に成り済ます被害事例が相次ぐなど、極めて憂慮すべき状況」と警戒感を示しました。その上で幹部らに対し、捜査と抑止を含めた総合的な対策を強力に推進するよう呼びかけています。