長崎市東山町の旧市立北大浦小跡地に今春、地域住民が気軽に集える交流施設がオープンした。近くの大浦保育園を営む社会福祉法人が整備。毎月第2土曜日には、世代を問わず住民を招いて夕食を振る舞う「こども食堂」を開くことにしている。今月13日の初回には約100人が訪れ、走り回る子どもの歓声が響く中で食事を楽しんだ。

 北大浦小は2007年閉校。跡地の一画に、社会福祉法人の長崎市社会福祉事業協会が「オランダ坂児童クラブ館」(3階建て)を建設し、今月開所した。2階は「オランダ坂地域支援センター」と名付け、イベント会場などとして住民に貸し出す。3階では、近隣の小学生らが通う放課後児童クラブを運営する。
 大浦保育園に60年余り勤める水浦ヨシ子園長(82)は、園の道向かいに完成した児童クラブ館を「世代を超えた『みんなの広場』にしたい」と思い立ち、こども食堂を企画した。主催は同園。食に困っている子どもに限らず、独り暮らしのお年寄りなど誰もが立ち寄れるイベントを目指す。
 会場は2階の地域支援センター。13日には住民ら約15人がボランティアで参加し、トルコライスなどの調理や盛り付けを慌ただしく進めた。子ども用の遊具も用意し、食卓は長崎港や稲佐山を望む窓に向けて配置。午後4時前から親子連れや高齢者グループが続々と立ち寄り、談笑しながら食事を楽しんだり、弁当として持ち帰ったりした。
 近所の人に誘われ、女性4人グループで訪れた藤田紀子さん(78)は「にぎやかな子どもの声を聞きながら食べると、とってもおいしくて元気をもらった。普段は家で独り食事をしていて、近所で子どもの声を聞くこともないので、また来たい」と笑顔を浮かべた。
 参加費は中学生まで無料、高校生以上は300円。大浦地区では他に昼食を提供する団体もあることから、同園は夕食にできるよう毎月第2土曜日の午後4時〜6時に開く。