市役所の職員の方が胸に付けている名札が1日から変わった自治体があります。これまではとフルネームで書かれていた名札が名字だけになりました。なぜ名字だけになったんでしょうか。

 岐阜県の関市役所。1日、窓口で職員の名札を見ると、みなさん「名字だけ」。

 「名字のみの表記に、ふりがなのみの表記に変更いたしました」(関市秘書課 下田悟さん)

 そのわけを聞いてみると―

 「職員の個人情報がインターネットで検索されたり、公開されたりといった事例が全国で発生している。名札の表記を見直す動きもあることから、関市でも見直しについて検討して結果、名字のみの表記にする」(下田さん)

 全国の自治体で働く職員らで作る労働組合「自治労」は、3年前に発表した報告書で役場などの職場で「カスハラ=カスタマーハラスメントが問題になっている」と公表しました。

関市役所では予防的に対応

関市秘書課 下田悟さん

 「カスハラ」は職員に対する迷惑行為で、調査をした職場の4分の3で発生しているといいます。

 「窓口で大声を上げられたり職員を責めたてるようなお客様が少なからずいる。そういった部分でも職員を守るためというところもございます」(下田さん)

 関市役所ではこれまでにネット上で職員を名指ししてクレームを言われるようなトラブルはなく、予防的に対応したということです。

 市民からは「名字だけわかっていれば安心で問題ない」、「市役所はいろんな人が来る。恨まれたりするかもしれない。不安はあると思う。名字の表記になった方がいい」といった肯定的な意見が聞かれました。

 東海地方では、名古屋市も4月から職員の名札をフルネームから名字だけに変更しています。  

民間企業では半数以上の人が「ある」と回答

エス・ピー・ネットワークの調査(2023年クレーム対応を行ったことがある会社員1030人が対象)

 暴行・脅迫・不当な要求などの迷惑行為であるカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」は民間企業でどれぐらいの人が経験しているか。

 企業でクレーム対応を行った経験のある会社員約1000人を対象に去年行われた実態調査では、直近の1年間でカスハラを受けたことがある社員は64.5%となりました。

 例えば、卸売・小売業の社員は「責任がないにも関わらず商品の交換や金品を要求」されたと回答しています。

企業の「カスハラ」対策

企業のカスハラ対策

 企業も対策が必要です。

 タクシーは助手席の前に、運転手の顔写真やフルネームのプレートが置かれていましたが、去年の法令改正で氏名の表示義務がなくなりました。

 名古屋市に本社のある「つばめタクシー」では今年の2月から、名字のみのカタカナ表記に変更。

 コーヒーショップ「タリーズコーヒー」では、おととし5月から従業員のネームプレートをローマ字のイニシャルのみに変更しています。