歴史的円安で迎えた今年のゴールデンウィーク。家計への影響を考慮し、日本で海外気分だけでも味わおうと考える人たちもいるようです。

野外民族博物館「リトルワールド」

 5月1日の中部空港の国際線到着出口。続々とスーツケースを持った方たちが出てきました。円安の中、海外旅行を楽しんだ皆さん、どのように過ごしたのでしょうか。

 最大10連休となるゴールデンウィーク折り返しの1日、中部空港には海外旅行から帰ってくる人の姿が多く見られました。

 Q.どちらから戻ってきた
 「フィリピンのマニラ。ゴルフを楽しんだ。暑かったんですよ」

 家族と一緒に社員旅行でグアムから戻ってきた男性は――
 「10何年ぶりですね。海外は」

 現地ではボリューム満点のハンバーガーがおいしかったということです。

 同じ社員旅行で戻ってきた男性はこんがり日焼け。
 「島観光して海でレジャー。バナナボートや水上バイク、パラグライダー。夏を満喫してきました」

約34年ぶりの円安水準を更新

ハンバーガーは3つで35ドル〜40ドル(約5500円〜6300円)提供:グアムから帰国した男性

 日本とは違う雰囲気を満喫する一方で―

 「僕らが行っていたときが1番高かったんじゃないかな、円安で。ステーキで60〜70ドル(約9400円〜1万1000円)。食べられんかったね。ハンバーガーを食べました。ハンバーガーの値段は3つで35ドル〜40ドル(約5500円〜6300円)」(グアムから帰国)

 4月29日の外国為替市場では一時、1ドル160円台まで急落し、約34年ぶりの円安水準を更新。

 1日午前は1ドル157円台後半で推移しました。

 長引く円安でも、せっかくの海外旅行だからこそ、思いっきり楽しみたいと考える人が多かったようです。

 Q.円安の影響については
 「気にすると楽しめないので、気にしないようにしました。これから感じると思う。カードで半分くらい払っていたので」(グアムから帰国)
 「向こうで贅沢したいなとケチらずにいきました。日本で出費を抑えればいいんじゃないですか」(グアムから帰国)

世界旅行気分が味わえるスポット

世界23の国と地域の民族文化を体験できるテーマパーク

 家計への負担の大きい海外に行けない代わりに注目を集めているのが、愛知県犬山市にある野外民族博物館「リトルワールド」。

 日本国内にいながら、世界23の国と地域の民族文化を体験できるテーマパークです。

 園内では、子どもたちが現地の衣装を身にまとって大変身。”非日常”な体験を楽しんでいました。

 ゴールデンウィークのお出かけ先にリトルワールドを選んだ理由は―

 「世界のいろんな建物が見られる。円安で海外旅行ができないので」(神奈川からの来場客)
 「円安だし、高いので近場の日本で」(静岡からの来場客)

 やはり海外旅行のネックとなっているのは「円安」。

 そもそも行き先の選択肢に入らなかったという人が多い様子でした。
 
 果たして気軽に海外旅行に行ける日はいつになるのでしょうか―

 Q.海外旅行解禁は
 「まだまだ先ですね。いつか行けたらいいかなと思います」(静岡からの来場客)
 「良くなることを期待しながら、耐える時は耐えて楽しむ時は楽しもうってやってこうかなと思っています」(愛知からの来場客)

円安はいつまで続く?

中京大学 経済学部 内田俊宏 客員教授

 この円安はいつまで続くのでしょうか、経済の専門家に聞きました。

 「今後の円相場の見通しは、アメリカの中央銀行・FRBが利下げをするとしても秋以降と見られていて、秋ぐらいまでは円安基調が続く可能性が高いとみています」(中京大学 経済学部 内田俊宏 客員教授)

 4月29日、政府・日銀が為替介入をしたとみられていますが、円安の根本的な原因である「日米の金利差」が変わらないため、内田客員教授は円安傾向が当面続くとみています。

 「当面は1ドル160円を挟んだ展開が続くと思います。それ以上円安が進むと、せっかく今年の春闘で高い賃上げ率を達成したのに、賃上げ分の一部を物価上昇で相殺してしまいかねない」

 ところで、海外旅行から帰ってきたときに余ったドル。そのまま持っておくことがおすすめだそうです。

 「中長期的に見ると円安傾向が続く可能性が高いとみているので、ドルでキャッシュを持っていたら、持ち続けた方が価値が上がる可能性もあると思います」