電動化など積極投資

トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社は、2025年3月期に高水準の業績を予想する。主要顧客であるトヨタの車両生産を前期比で同規模か微増とし、豊田合成を除く6社が売上高で過去最高を見込む。一方、当期利益は為替や中国新車市場の競争激化、アジア地域の景気後退などのリスクを踏まえ、4社が前期比減益とみる。電動化や競争力強化に向けた投資も増える傾向にあり、各社は業務効率化などに一段と力を入れる。

25年3月期連結業績予想の売上高と各利益段階で過去最高を見込むのはデンソーと豊田自動織機。デンソーは営業利益で前期比87・6%増の7140億円を予想。前期に計上した約2000億円の品質関連費用がなくなり「合理化改善のほか成長領域での収益向上を見込む」(松井靖デンソー副社長)。

豊田自動織機は営業利益で同24・7%増の2500億円と予想する。フォークリフトの販売台数は前期とほぼ同水準の30万4000台を計画。エンジンの認証不正に該当する製品は供給できないが、欧米や日本では7―8割が電動化されており、影響は最小限とみている。インバーターなど自動車向け電子機器の売上高は前期比20・9%増を見込む。

アイシン、ジェイテクト、トヨタ紡織、愛知製鋼は25年3月期の売上高を過去最高と予想。主要顧客のトヨタが安全や品質を最重視し生産におけるムリをなくす「余力づくり」に取り組むが、各社は「前期並みの微増」(後藤尚英愛知製鋼社長)、「グローバルでは台数は変わらない」(岩森俊一トヨタ紡織取締役執行役員)など供給量は減らないとの見方を示す。

24年3月期連結決算は豊田自動織機とトヨタ紡織が売上高と各利益段階で過去最高を更新。ほかの5社も売上高が過去最高となった。

26日に開かれた決算会見は4年ぶりの対面開催となり、グループ7社の首脳がそれぞれ出席した。デンソーの林新之助社長は「中長期で電動化は必ず進む。ポートフォリオ転換はブレることなく進める」と強調。アイシンの吉田守孝社長は「全ての電動化ユニットを顧客のニーズに応じタイムリーに提供する体制をそろえつつある」と語った。


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