機能化学8社の2025年3月期連結業績予想は、開示した全6社が増収、5社が営業増益を見込む。半導体や医薬・健康に関連する製品がけん引する。通期の業績予想を例年4―6月期決算の開示にあわせて公表する信越化学工業も、シリコンウエハーの需要について24年1―3月期で底を打ったとみる。

※自社作成

信越化学は半導体関連材料の生産増強や研究開発に積極的で、国内外で複数の設備投資を進めている。今後もこの流れを継続し、25年3月期は前期比8・2%増の総額4400億円の投資を計画。半導体関連材料が中心となるが、その他製品も対象に据える。

カネカはメディカルファーマやフーズサプリメントで成長を加速。4月に就任した藤井一彦社長は「現在の(全社の)海外売上高比率は50%に少しかかる規模だが、数年で60%にしたい」と意気込む。UBEは樹脂・化成品における需要が回復し、機能品や機械のセグメントが堅調に推移するとの見通しを示す。

祖業の合成ゴム部門を売却し、半導体材料に注力するJSR。上場廃止を前に最後の決算開示となったが、業績予想は開示しなかった。ただ、半導体需要は回復すると見ている。デンカも下期から穏やかな業績回復を予想するが、今井俊夫社長は現在の収益状況を「危機的」と表現。31年3月期までの8カ年の投資キャッシュフローを当初計画から1000億円減らし、投資案件を厳選する方針だ。最優先事項として、クロロプレンゴムの生産最適化を位置付ける。

日本ゼオンは事業別売上高でみると高機能材料が前年同期比7・6%と最も増え、1155億円になる見通し。トクヤマも24年後半と予測される半導体需要の回復に伴い、緩やかな景気上昇を予想する。電子、環境、健康の各分野で成長につなげる絵を描く。半導体関連材料と高機能プラスチックの海外向け販売が好調な住友ベークライトも、半導体需要は今後も中長期的に伸長するとの見方を示している。