歯や口の病気の予防や、診療の補助に携わる “歯科衛生士” が全国的に不足しています。

全身の健康にもつながる口腔ケアに関心が高まる中、県歯科医師会などでは人材の確保に力を入れています。

(歯科衛生士)

「右下以外のところは、しみたりするところはなかったですか。今から振動のある機械を使っていくので、振動で痛みがあったら手を挙げて教えてください」

1日約40人の患者が訪れる、長崎市の歯科クリニック。

診療台では歯科衛生士が、診療の補助や歯ブラシの使い方の指導などを行っています。

(県歯科医師会 岩永 正憲 常務理事)

「今、歯科医院には治療が主体としてくる患者以外にも、虫歯にならないように、歯周病にならないように、予防や管理を担う役割を担っているのが(歯科)衛生士」

近年、口腔ケアに対する関心が高まり、高齢者施設や災害現場などでも活躍の場が広がる “歯科衛生士”。

ニーズは高まる一方、全国的に人材不足が深刻化しています。

全国歯科衛生士教育協議会の調べによりますと、2022年度の求人倍率は23.3倍でした。

4つの診療台があるこのクリニックでも。

(県歯科医師会 岩永 正憲 常務理事)

「診療台には、常に(歯科)衛生士が1人はいてほしい」

現在は6人が勤務していますが、3人しかいない時もあり、受け入れる患者数を減らすなどの対応を余儀なくされたといいます。

今週、入学式が行われた長崎市の長崎歯科衛生士専門学校。

18歳から41歳までの47人が入学し、3年かけて学科や技術を学び、国家資格の取得を目指します。

(本川 茜さん)

「子どもと同じ歳なので、一緒に学びたい。後れを取らないように頑張る」

(市川 ひなのさん)

「幼少期から憧れている。患者から信頼される、優しい歯科衛生士になりたい」

学校によりますと需要の高まりもあり、就職率はほぼ100%の状態が続いているそうです。

高い就職率を誇る “歯科衛生士”。

免許登録者は約31万人いるものの、実際に働いている人は14万人あまりと、半数以下にとどまります。

(県歯科医師会 岩永 正憲 常務理事)

「女性が多いので、結婚して何人か子どもを出産した後は、どうしてもクリニックと離れてしまう時間が長くなる。再度、就職しようと思った時に自分の働きやすい環境の、歯科医院とのマッチングが課題になる」

県歯科医師会では、復職を希望する人と歯科医院のマッチングサポートを実施。最新の機器や技術に対応できるよう研修会も行い、人材の確保に努めています。

(県歯科医師会 岩永 正憲 常務理事)

「治療の時、治療後のケアに関しては(歯科)衛生士がいないとサポートできない。ケアのできる(歯科)衛生士は社会にとって、とても大切な存在」