劇作家の唐十郎(から・じゅうろう)さん(本名大鶴義英=おおつる・よしひで)が4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため、都内病院で亡くなった。84歳だった。

唐さんが亡くなった5月4日は、互いに60〜70年代のアングラ劇団ブームでしのぎをけずった劇団「天井桟敷」の主宰者・寺山修司さんが83年に47歳の若さで亡くなった命日と、図らずも同日となった。

今年は寺山さんの没後40年で、弟子の三上博史が1月に東京・紀伊国屋ホールで、同劇場開場60周年記念も兼ねた公演「『三上博史 歌劇』−私さえも、私自身がつくり出した一片の物語の主人公にすぎない−」を上演。寺山さんの代表的な著書である67年「書を捨てよ、町へ出よう」も復刻された。

そんな記念イヤーに、しかも寺山さんの命日に唐さんが亡くなったことに対し「同じ日に亡くなるとは」「亡くなる日を選んだのでは?」との声が、SNS上でささやかれている。

2人は5歳差で親交があったが、1969年(昭44)には寺山さんが唐さんの劇団「状況劇場」に葬式用の花輪を贈ったことに、激怒した唐さんが劇団員とともに「天井桟敷」に殴り込んだことも、日本の演劇・芸能史の1ページとして残っている。