ダウンタウン松本人志(60)が、複数の女性への性加害を報じた「週刊文春」の記事で名誉を毀損されたとして、発行元の文芸春秋などに損害賠償5億5000万円などを求めた裁判が始まった。

■第1回口頭弁論に出席せず

 28日に東京地裁で行われた第1回口頭弁論には傍聴席19席に対して691人が並び倍率は約36倍と注目度の高さをうかがわせた。しかしながら、松本の姿はなく、取材した記者からは「裁判に注力するという理由で休業したのだから出廷してもよかったのでは」という声もあがっていた。

 ついにゴングが鳴った松本VS文春の法廷闘争だが、司法記者や法曹関係者の間では「松本人志の勝ち目は薄いのではないか」という見方が強い。それは訴状で、松本の代理人弁護士が「松本人志と恐怖の一夜『俺の子ども産めや!』」などの記事で性加害を告発した「A子さん」「B子さん」の個人情報を明らかにするよう求めたことからも推察できる。

■「事実無根」という主張の矛盾

「松本サイドは『A子さん、B子さんが特定できないと認否のしようがない』と主張し、A子さん、B子さんの氏名(芸名含む)、住所、生年月日、携帯電話の番号、LINEのアカウントを明かし、容姿がわかる写真まで用意するように要求しています。これに対して文春サイドの喜田村洋一弁護士が会見で“47年、弁護士やっててこんなことは初めて”と呆れていたように、本人が記事に書かれたようなこと(性加害)を一回もやったことがないなら、全否認でいい。2人以外にも複数の女性に対して同様の行為を行っていて、誰だかわからないという場合においてなら個人の特定に意味はありますが、少なくとも記事に書かれたことについて事実無根と主張しているのですから特定する必然性はありません。個人情報の開示要求は嫌がらせに近いものを感じます」(司法担当記者)

 実は松本は「A子さん」の存在を知っているのではないかという指摘もある。

「本人のX(旧ツイッター)が何よりの証拠でしょう。松本への『SEX上納システム』で行われた飲み会のあと、A子さんがアテンド役のお笑いタレント小沢一敬に送ったLINEの画像が明るみに出た際、それを引用して、『とうとう出たね。。。』とコメントしている。飲み会についても、A子さんについても、そのA子さんが小沢にLINEを送っていたことまで知っていたからこそ、言えた文言ではないでしょうか。お礼のメッセージがあったことで、自分に有利に働くと思ったのでしょうけど、結果的には語るに落ちたというべきかもしれません」(スポーツ紙芸能担当記者)

 その「お礼」について、「A子」さんは週刊文春で「松本に嫌われてはいけない、芸能界で仕事できなくなると反射的に送ったもの。(性的行為に同意があったとする)切り札のように世論を誘導できるとでも思っているとすれば、おぞましいこと」と怒りを込めたコメントをしている。

 週刊文春によると、六本木のシティーホテルのスイートルームでの性加害後、松本はA子さんらに「番号を聞いてええか」と携帯番号を交換。松本は複数所有する携帯のひとつ、「女性専用回線」を伝え、ショートメッセージでのやりとりもしている。そのことを忘れたのだろうか。どの女性か特定できないほど複数の番号を登録して分からないのか、覚えていても知らないふりをしているのか。すでに消去したのか。

■アテンド役の小沢に確認すれば…

 いずれにしても、女性側を揺さぶり、その言い分に信用性も信憑性もないと印象づけようとする法廷戦術なのだろうが、SNSなどネット上では、「アテンド役の小沢に確認すればいいだけでは?」といったコメントが並ぶ。

 松本は当初、Xで「事実無根なので闘いまーす」とコメントしていた。しかし、飲み会をやっていたことはタレントたむらけんじらが認め、事実無根との主張はさすがに通らないとみたのか、裁判直前には「自分の主張はかき消され受け入れられない不条理に、ただただ困惑し、悔しく悲しいです。世間に真実が伝わり、一日も早く、お笑いがしたいです」との声明を発表した。裁判の次回期日は6月5日に決まったが、どんな主張を展開しても苦しい言い訳に映るだろう。