◆買ったビールは1日後に飲むのがベスト

 ビール業界で「日本一おいしいビールを売っている社長」として知られる藤沼正俊さん。大学でビールの研究に従事し、キリンビールマーケティング(現・キリンビール)に入社後は、東京・世田谷エリアの約360店舗を担当してビールサーバーのメンテナンスや新商品の提案、メニュー作成などの業務を行ってきたという。

 経験を積むうちに「本当においしいビールを多くの人に提供したい!」と、クラウドファンディングを活用して起業。2017年には直営店をオープンし、19年までに6店舗まで事業拡大に成功した。しかし、ビール専門店以外の事業に手を広げすぎてしまい、2020年にすべての店舗を売却。その後、日本一周の放浪をしながら資金をためて、21年にビール専門店「PERFECT BEER KITCHEN MONNAKA」を東京都江東区にオープン。

 そんな藤沼さんの著書「パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール」(春陽堂書店)には、教養としてのビールの知識とおいしい飲みかたがまとめられている。今回、自宅での缶ビールのおいしい飲み方を紹介する。(以下、本文からの抜粋を再編集しています)

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 自宅などでビールを飲む際には、どのような工夫ができるでしょうか。ポイントを紹介していきましょう。

 まず、缶も瓶もそうですが、購入してから帰宅するまでになるべく揺らさないのが鉄則です。ビールは発泡性の飲み物なので、揺らしてしまうと味や香りが劣化する恐れがあります。

 ただし、ビールを買って帰るまでに、まったく揺らさないのは不可能。そこで、ビールを購入したあとは、冷蔵庫などでしばらく置いてください。

 中身が揺れてしまったビールは、味や香りが乱れています。それだけで、ビールのポテンシャルを発揮できなくなってしまうのです。

 また、買ってきたビールをすぐに飲みたいと思うかもしれませんが、1日置いて落ち着かせてから飲むのがベストです。また、ビールは冷蔵庫に1、2時間入れただけでは中心まで冷えません。常温で買った場合は、最低でも4、5時間は冷やしてみてください。

◆缶ビールを冷えたジョッキに注ぐのはお勧めできない理由

 まず、自分が好きなビールの銘柄を購入し、振らないように注意しながらよく冷やしましょう。

 次に、缶の開け方は「ゆっくり開ける」のがポイントとなります。

 冷えているビールを買ってくると、すぐに飲みたくなる気持ちもわかりますが、開けるときはいったん落ち着いてください。ビールは缶から直接飲むのではなく、よく洗ったグラスに注いで飲むようにしましょう。ビール本来の味わいを楽しみやすくなります。

 ジョッキの洗浄に関しては、お店でもそうですが、自宅でも同じ。きちんと洗って自然乾燥させ、余計なにおいがしないような状態にしましょう。

 ジョッキを冷やしたり凍らせたりしてビールを注いでいる人もいるようですが、味が劣化してしまうのでおすすめしません。

 ちなみに一般的なラガービールであれば、夏は少し冷やしめで4〜6℃、冬はもう少し高めの6〜8℃くらいがおすすめです。それ以上冷やしてしまうと、ビールの成分が結合してしまい、濁りが生じることがあります。その結果、味が劣化し、泡立ちも悪くなることがあるので注意しましょう。