U−23日本代表の主将としてパリ五輪出場権獲得に貢献したMF藤田譲瑠チマ主将(22=ベルギー・シントトロイデン)の評価がうなぎ上りだ。

 日本時間30日の準決勝・イラク戦で2アシスト。ボールの配球や堅い守備などで抜群の安定感を発揮し、2−0の快勝に貢献した。「結果に直結するパスを出せた部分は自分にとっても自信につながる。他の場面でもコントロールはできていた」と胸を張った。

 藤田が所属するベルギーリーグは、欧州5大リーグへのステップアップを目指す選手たちが集まる。強豪チームのスカウトが「ダイヤの原石」に目を光らせているリーグだ。藤田は「いずれは(イングランド)プレミアリーグへ行きたい」と公言している。五輪後の夏の移籍市場でビッグクラブへ移籍する可能性はあるのか。

 元ワールドサッカーグラフィック編集長の中山淳氏がこう言う。

「藤田には運動量、テクニック、球際や空中戦の強さ、広い視野、ボールのキープ力があります。スカウトの評価も上がっているでしょう。ただ、いきなり世界最高峰のプレミアリーグへの移籍というのは、現実的ではありません。ベルギーのリーグとプレミアのレベルを比べると、この間に多くのリーグがあります。シントトロイデンの先輩でいえば、A代表主将のMF遠藤航は、藤田と同じように『プレミアへ行きたい』とずっと言っていましたが、ドイツのシュツットガルトを経てリバプールへ移籍したのは30歳の時。DF冨安健洋もイタリアのボローニャへ渡ってからアーセナルへ。いずれも移籍金30億円で移籍しました。欧州5大リーグの中でもイタリア、ドイツ、フランスといったリーグの中堅クラブで勉強してから、プレミア移籍を目指した方が現実的です」

 先輩の背中を追いかけることが、大いなる野望への近道になりそうだ。