元テレビ朝日社員の玉川徹氏は20日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜午前8時)に出演し、上川陽子外相が静岡県知事選(5月26日投開票)の応援演説で、自民党推薦候補の当選を念頭に「この方を私たち女性が(知事として)うまずして、何が女性でしょうか」と述べ、1日で発言を撤回した問題に私見をまじえて言及した。

上川氏は18日の会合で「(知事選出馬に)一歩踏み出していただいたこの方を、私たち女性がうまずして、何が女性でしょうか」と発言。自民推薦候補を新しい知事として、女性有権者の力で「生み出す」という趣旨だったとみられるが、「うまずして、何が女性でしょうか」のくだりは女性の出産を想定させる側面も否めず、上川氏は19日に発言撤回を表明した。

玉川氏は、今回の報道をめぐり「言葉の切り取り」との批判があることを念頭に「この発言の後ろに『今日は男性もいらっしゃいますが、うみの苦しみは本当にすごい』と言っている。だから、女性は産むものというニュアンスで語っているのは間違いない。切り取りじゃないという意味で」とした上で、一般的に政治家が発言を撤回する際のルーティンに言及。

「問題発言をした後に『そういう意図ではなかった』とおっしゃる。意図しては言っていないと思うが、実はそこに根深い問題があるのではないかと思う。意図していなくても心の中に潜在意識としてあるものが、長くしゃべっていたり盛り上げなきゃいけないと思うときに、出ちゃう部分がないか、もう1回再点検した方がいいのではないかと思う」と述べた。

上川氏の発言について「そこにはやはり、保守と言われる自民党の中の家族観があり、その中の議員でいらっしゃる。意図していなくても、そういう部分が意識の中にあったりしないか、もう1回自分の心に問いかけたほうがいい」と主張した。

その上で「私も、いろんな差別意識は心の中にあり、なんとか押さえ込もうとしている、消すというのはなかなか難しい」と口にした。

さらに「(そうした意識が)表に出れば、受け取る人によっては受け取る。今回の発言も『産んでこそ女性』ということになると、いろんな事情があって子どもが産めない女性もいらっしゃる。そういう方が(今回の発言を)聞けば『産めない私は女性じゃないの?』と感じる人もいらっしゃると思う」と述べ「政治家は特に、自分の意識の中にそういうものがないか、向き合っていればそういう言葉はたぶん出てこない」と私見を述べた。

玉川氏は「(自分は)しゃべる仕事なので、私も含めて常にそういう部分がないか、向き合っていかなければならない。じゃないといい社会にはならないと思う。それでも失言が出ちゃうことはあるけど、なるべく抑えるように、というふうにしてやっていると思いますよ」と述べた。

番組MCのフリーアナウンサー羽鳥慎一は「うーん…そういうこともあったんですね」と、複雑そうな表情で応じた。