<春季全道高校野球空知地区予選:岩見沢西16−0夕張◇6日◇1回戦◇滝川市営

来春に岩見沢東との統合を控える岩見沢西が5回コールドで夕張を下し、初戦を突破した。初回から2イニング連続で打者一巡の猛攻を見せるなど、計16安打16得点と打線が爆発。投げては4人の継投で1安打完封し、滝川西の待つ8日の2回戦に駒を進めた。

1回、先頭打者の高島楓大捕手(3年)が、初球をたたいた。左翼手の頭を越える痛烈な打球の三塁打で、相手の失策が重なってホームに生還すると、勢いが止まらなくなった。主将で2番の上見(じょうけん)陽太内野手(3年)は、2回に1イニングで2本の二塁打を放つなど4打席全て出塁。「バットを振ってきた成果が出ました」と顔をほころばせた。

昨秋の地区3回戦でクラークに0−10の5回コールド負けを喫した。この冬、全部員が1日1000回のスイングを実践し、打力に磨きをかけた。低反発バットでも飛距離が伸ばせるよう、全体練習前にはマネジャーにご飯を炊いてもらい、おにぎりを作ってほおばった。上見は昨秋の体重から約8キロ増。1番から9番まで、力負けしない打線が出来上がった。松田基監督(26)は「自分たちで『もっと練習したい』と言ってくる、素晴らしい選手たち」とナインを称賛する。

今の3年生が入学した時、先輩は3人しかいなかった。単独で公式戦出場ができなくなる危機に、上見が同学年の野球経験者に声をかけ、約1週間で7人が入部。夏の大会後に元剣道部の北大祐(3年)が入学して現在の8人になった。1、2年生7人を含めた15人が、学校創設100年目で、岩見沢西の最後のメンバーになる見込みだ。

投手としても1回無失点に抑えた上見は「僕たちは、100年前からの先輩の方々の思いを背負っていると思っています。あと春と夏の2大会。最低でも全道大会出場はしたい。全国大会(甲子園)にも憧れはあります」。歴史の重みも力に変え、岩見沢西ナインが進撃する。