<阪神2−0巨人>◇17日◇甲子園

阪神伊藤将司投手(27)が驚異の粘りを見せた。甲子園での巨人戦は22年5月22日から4連勝。巨人キラーは健在だった。

「もう、2点しか入らないからね。伊藤もあまりよくなかったんだけど、本当、守り勝ちというか。しのいで、しのいでというゲーム。粘って、粘ってですよ」。岡田監督はテレビインタビューの最初に、投手陣の踏ん張りをたたえた。

左腕は「何度もピンチを作って先制してもらったあとの満塁も何とか0点で切り抜けられた。今日は粘れた、の一言」と大きく息をついた。お立ち台での「翔太、ありがとう!」にも実感がこもった。

苦しすぎた。初回からピンチ。ただ2回6失点の前回広島戦(甲子園)とは違った。直球が弱く、制球も定まらなかった1週間前は、ことごとくヒットになった打球が、守備範囲に収まった。「初回は球速もいい感じで出ていた。直球の大事さを感じました」。

1死一、二塁から岡本和を直球で押して左飛にしとめた。現在、打撃3部門トップの岡本和にはめっぽう強く、この日も3打数無安打。通算36打数5安打で、長打を許したことがない。坂本にも1四球のみで「そこがやっぱり一番でかい」と、得点源2人を封じたことを勝因に挙げた。

2回は無死三塁。2点先制した直後の4回は無死満塁。どちらも下位打線をきっちり抑えた。6回は直球で大城卓を差し込んで中飛に抑え、あとを託した。

この1週間、映像を見て投手コーチと一緒に課題をつぶした。フォームを見直し、直球の質を求めて調整を続けた。テーマは低めに、強く投げること。苦しい中でも「生命線」を6回まで意識して、実行した。「シーズンは長いので、なるべく早く(調子を)戻せるようにという感じですね」。2軍では門別が先発の予備としてスタンバイしている。簡単にローテの座を譲るつもりはない。【柏原誠】