◆オリックス2―5ソフトバンク(31日、京セラドーム大阪)

 ソフトバンクの周東佑京内野手(28)が、自慢の足で勝利に貢献した。

 2試合を終え、開幕スタメン組では唯一、安打が生まれていなかった。初回も初球を打ち損じて、二ゴロ。3回2死二塁。今季、10打席目の初球にセーフティーバントを仕掛けた。

 「早く1本出したい気持ちがあった。なかなか塁にも出られない中、1番で出させてもらっている。何とかしたいなという気持ちがあった」。3年連続ゴールデングラブに輝いている三塁の名手宗の前に転がした。あとは全力で一塁を駆け抜けるだけ。セーフのコールを聞き、ようやく「H」がともった。「無理やり、無理やり、無理やり出しました」と繰り返した。

 こうなれば「楽な気持ちではないけど、ホッとしたところはあるのかな」と落ち着いた。続く今宮の初球に迷わず二盗。今季2個目の盗塁を決めた。価値ある初球スチール。「若いカウントになればなるほど打者は楽になると思う。特に(今宮)健太さんはこっちの動きを見ながらやってくれるので」と感謝を込めた。

 そして8回には真骨頂となる走塁を見せつけた。1死から四球で出塁。今宮の右翼線への当たりで生還した。フェンスまで届くような打球ではなくても一気のホームイン。「回るつもりでいましたし、(三塁ベースコーチの)井出さんがすごく(腕を)回してくれていたので、そこは信じて回りました。井出さんが回している限りはいこうと思っているので」。背後で見えない打球でもコーチを信じて、走り抜いた。

 ただ、グラウンドを駆け回った周東の〝ベストプレー〟は違った。「ヒットもそうですけど、(8回に)フォアボールを取れたのが一番大きかったと思います。今年のテーマは我慢なので」。ゆっくりと一塁に歩いた四球が一番の収穫となっていた。(小畑大悟)