◆高校野球春季九州大会1回戦　東明館2―3鹿児島実（23日・佐賀みどりの森）

　鹿児島実の最速151キロ右腕井上剣也（3年）が2失点で完投し、チームはサヨナラ勝ちで8強へ進出した。

　鹿児島大会決勝で自己最速を出したという井上はこの日、最速150キロをマーク。1回は140キロ台の直球で押しながらも1点を失ったが、2回以降は140キロ台と130キロ台とスピードの違う直球を使い分けながら7回まで無安打に抑えた。

　1点リードの8回に四球と適時二塁打で同点とされたが2―2の9回裏、1死二塁から自ら一、二塁間を抜ける安打でつなぎ、最後は1番満留裕星（3年）の左前適時打でサヨナラ勝ちを決めた。「最初は慣れないマウンドだったので苦しんだけど、後半はマウンドに慣れてきて球が伸びてきました」。ただ、味方が逆転してくれたリードを守れず、6四球で2失点の内容にエースは納得していない。

　昨秋までの最速は147キロだったが、冬の練習では体力づくりと指先の感覚を養うため、5キロのダンベルを指先でつかんで上げるトレーニングを繰り返した。トレーニングの成果で球速は150キロの大台に乗ったが課題は制球力。「四球がすべて失点につながった。スピードはあるけどまだ未熟。制球力がないと通用しないと分かったと思う」と宮下正一監督はこれからのエースの成長に期待する。井上も「低めのコントロールをつけていきたい」と夏へ向けての課題を挙げる。

　準々決勝では選抜大会に出場した熊本国府を破り、決勝に進出した2017年春以来の4強進出を目指す。
（前田泰子）