◆ソフトバンク2x―1(7日、みずほペイペイドーム)

 ソフトバンクの砂川リチャード内野手(24)が、スタメン起用に応えた。2回は1死一塁で左翼フェンス直撃の二塁打。延長12回には無死一、二塁でバットを折られながらも中前に運び、満塁と好機を広げ、今季4度目のサヨナラ勝利につなげた。

 昨季と変わらない環境がリチャードを後押ししている。小久保裕紀監督は2022年から2年間、2軍監督として大砲の成長を見守ってきた。「サードで守る時(小久保)監督がベンチから見ている姿が同じなのでやりやすい」。

 小久保監督も右の大砲にかける期待は大きい。先頭で回ってきた延長10回。チームとしては何が何でも先頭打者を出塁させたいところ。この時点でベンチには小久保監督が以前「誰にでも代える」と言っていたほど絶対的な信頼を置く中村晃が残っていた。それでも、リチャードが代えられることはなく、3ボール0ストライクからも「待て」のサインは出なかった。ここは結局投飛に終わったが、12回の一打サヨナラの場面でもそのまま打席に送った。小久保監督は「最後もリチャードのところで別に(周東)佑京でも良かったわけですから。それはそれで彼にあそこはかけてみようと」とその理由を明かした。

 「(前の打者の代打野村勇が)敬遠された瞬間、代打かバントか、サインめっちゃ見て。まず代打じゃないことにびっくりして、監督かっけぇなと。一人で感動しながら打席に行きました。三振してもいいやと思って思い切っていった」。リチャードは驚きながらもしっかりと指揮官の期待に応えた。

 これで今季2度目の複数安打を記録。代名詞の本塁打は出ていないものの、15打数5安打1打点と好成績を残している。「モヤモヤはせずに毎日過ごせている」。ストレスのない環境の中、今季第1号が飛び出すのはもうすぐかもしれない。(大橋昂平)