「刺激的な昭和車を、令和な最先端パーツで、より魅力的な存在にする」これが、コモンスナッパーが手がけたケンメリR仕様のコンセプト。荒々しく硬派な容姿と走りのフィーリングを、だれもが楽しめるようにしたイノベーティブなモディファイ。令和の幕開けを告げるにふさわしい、新時代のチューンドをとくとご覧あれ。

【1975年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X Vol.4】

【3】から続く

 ただ、そんなキャブの刺激を味わうには、ある程度のスキルがいります。経験がないと、エンジンを壊す可能性が高い。そこで考えたのが、MoTeCでインジェクションをキャブっぽいフィーリングにセッティングするというアイデア。具体的には、燃料の加速増量で演出してる感じです。もちろん、ノッキングが出ない範囲内で。エンジンを壊すことがないようにです」

 きめ細かなセッティング機能を持つフルコンの斬新な使い方。確かにMoTeCの機能は、クルマの速さや滑らかさを追求する以外にも使える。セッティングは個々の好みだが、どういうフィーリングにするかが重要だ。

 さらに、キャブ感を演出するセッティングに合わせて採用したのが、IP(インジェクションプロジェクト)のダイレクトイグニションコイルだ。令和な昭和車には欠かせない最新パーツで、最大の特徴は、低回転から中回転域にかけては、2回スパークを発生させるところにある。この2回スパークする領域が、キャブのフィーリングを演出するために、燃料の加速増量をかける領域と重なる。つまり、燃料の増量による不完全燃焼の発生を、点火タイミングの調整だけでなく、点火系の強化によってキャブっぽいフィーリングを実現しているのだ。

>> 【画像36枚】イギリスのジェンビー製でφ50mmとなる6連スロットルなど。インマニ、燃料配管、ファンネルなどがキットになる。ECUはMoTeC M84で制御。あえてキャブっぽいフィーリングに味付けしているところがポイントだ


「MoTeCで、点火のタイミングを完璧に調整しても、ミスファイヤしているようではセッティングが取れていないのと同じこと。点火系の強化はエンジンを守るためにも必須ですわ」と宮本さんは、令和な旧車チューンにおけるIPのダイレクトイグニションコイルの重要性を強調した。

 さらに、ホーリーの新作パーツをはじめ、宮本さんがこのケンメリに込めた令和なチューニング&カスタムメニューは多彩だ。その全ての要素が、だれもが旧車を楽しめるように機能する。エキサイティングにカッコよく、しかも安心して乗れるようにだ。


>> メーター本体は純正のまま、照明がLED化されている。これだけでもクルマがぐんと若返った印象で、パッと明るくなる。


>> 磨き込まれたインテリア。ダッシュボードのツヤも昭和のものとは思えない。ステアリングはナルディ。チタンのピアスボルトが美しい。


1975年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X(KGC10) SPECIFICATIONS 諸元
■️ エクステリア:GT-R仕様(グリル、エンブレム、フロントスポイラー、
オーバーフェンダー、リアスポイラー、リアガーニッシュ)、
マーシャル製ヘッドライト
■ エンジン:L28型改3.0L仕様(ボアφ89.5mm、ストローク83mm)、
N42ヘッド(2mm面研)、ASW製75度カム/バルブスプリング/
φ89.5mm鍛造ピストン/コンロッド、64チタンリテーナー、
亀有製アイドラギア
■ 吸気系:JENVEY製φ50mm(スロットルボディ、インマニ)
■ 排気系:メインφ80mmマフラー(テールφ60mmデュアル)
■ 点火系:IGNITION PROJECTS製マルチスパーク
■ 制御系:MoTeC M84
■ 冷却系:3層真ちゅうラジエーター
■ 駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、LSD
■ 燃料系:ノーマルタンク加工インタンクポンプ仕様、
HOLLY製ハイドロマット
■ サスペンション:カンデン製サスペンションキット
 (F)8kg/mm (R)20kg/mm、ウレタンブッシュ
■ インテリア:ナルディ製ステアリング(チタンピアスボルト)、
純正メーターLED化、STACK製追加メーター(タコ、A/F)、
4点式ロールバー
■ タイヤ:KUMHO V700(F)215/45R16 (R)245/45R16
■ ホイール:BMD bester(F)16×8.5J -16 (R)16×10J -39



【1】【2】【3】から続く