ライトブルーのコーポレートカラーと要所に配したステンレスパーツが美しい遥稀丸。大胆な顔面移植でイメージチェンジを図るとともに、当時モノのパーツとオリジナルパーツを組み合わせて、独自性に秀でたレトロアートを確立している。

最大のアートポイントであるフロントマスクは、「FS63」のエンブレムが輝く初代スーパードルフィンのグリルと230用ライトを採用。さらにバス用のライトカバーやSDウインカーがプラスされ、ベース車の面影はまったく残されていない。県名をあしらったウイングマークを装着したフロントパネルと絶妙のマッチングを見せ、オリジナリティ満点の顔を創出している。

トップパートを飾るバイザー&ミラーステーも見逃せない。平型バイザーはウロコステンレス製の美麗パーツで、前面に配されたブルーの十字型マーカーは、今ではなかなか手に入らないレアパーツだ。ミラーステーは菱チップを配した角パイプ2本仕様を採用。左右非対称のスタイルがレトロなイメージを盛り上げている。

キャブボトムに鎮座する舟型バンパーは、ステンレスの質感を強調したプレーンなデザインで、クルマ全体にドッシリとした安定感をもたらしている。このバンパーのアンドンとケツブタの波絵は名匠・すずき工芸の作品。レトロとオリジナリティが融合した遥稀丸のアート指数をより高いものにしている。

ほかにも抜き加工を施したプロテクトップやメッキ仕様のキャブハシゴなど、荷台周りにも見どころを満載。独創性あふれるスタイルは、レトロアートの新たな可能性を示した1台といえるだろう。

【写真6点】独自性に秀でたレトロアート。

カミオン2010年5月号トップアートをもとに再構成