長年にわたりハラスメント行為があったと認定された、愛知県東郷町の井俣町長。第三者委員会は23日午後、会見を開き「悪質なハラスメントだ」などと厳しく指摘しました。

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就任6年を数えた愛知県東郷町の井俣憲治町長(57)。去年11月に浮上したのが、職員に対する“ハラスメント疑惑”です。

愛知・東郷町 井俣憲治町長(去年11月)

「改善を促すとか、そういう意味で発してしまった」

明るみに出たのは「死ね」「殺すぞ」など“暴言”の数々です。それから約5か月、“大きな節目”を迎えました。

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堀龍之委員長(第三者委員会 23日午後3時過ぎ)

「自分自身がハラスメントを受けたと回答された方は108名。パワハラを中心としたハラスメント行為が繰り返されてきたことに驚きました」

第三者委員会の調査で“井俣町長によるハラスメントはあった”と認定されたのです。就任1年目の2018年から継続的に行われ、パワハラにセクハラ、さらには育児などに対するマタニティーハラスメント、マタハラもあったということです。

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井俣町長は会議の最中に、「お前の頭は帽子をかぶるためだけの頭か」「お前らの脳みそは鳩(はと)の脳みそより小さい」などと、“蔑(さげす)んだ発言”を職員にぶつけていたといいます。他にも、机を蹴ったり、たたいたりするなどの“暴力行為”。さらには、存在そのものを否定するような言葉もあったということです。

「川に落ちて流れていってしまえ。そのまま流れて下流で見つかればいい」

井俣町長は暴力はふるっていないとし、発言についても“がっかりした気持ちを伝えるためだった”などと説明していますが、第三者委員会は「職員らが精神的苦痛を被ることは容易に推測できる」などとして「パワハラ」と認定しました。

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また「いつ子ども作るの?」などの質問や、交際相手や結婚の予定をしつこく聞くなどした行為は「セクハラ」、そして男性職員に対して発した「育休を1年とったら殺すぞ」「あいつが育休とって何の意味があるの?」といった発言は「マタハラ」と認定。

さらに、命に関わる手術を控えた職員に対しての次の発言。

井俣町長(NNNが入手した音声データ 去年10月)

「お前の家、何宗? 葬式やるっていったら何宗?」

職員(NNNが入手した音声データ 去年10月)

「死ぬこと前提じゃないですか」

町長(NNNが入手した音声データ 去年10月)

「お前、死んだら香典いくらくらい?」

この発言については「冗談や笑い話として受け止められる話題として一般的ではない」と、「悪質なハラスメント」だとしています。

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第三者委員会はハラスメントが起きた背景として、井俣町長の知識や理解の不足を指摘。さらに…

堀龍之委員長

「自分が町長に対する批判的な行動をとるとか、情報提供をする。しかも外部にそういうことをすることについては、報復的な措置がとられることが非常に心配だとか、不利益な処遇をうけるのではないかということを、危惧する声が多数あった」

「役場の職員のみなさんの職場環境を悪くしているし、そして役場の機能を低下させることにもなっていると感じました」

職員が声をあげることのできない組織に、問題があるとしています。

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ハラスメントが認められた今、被害を訴えていた職員は私たちの取材に、次のように話しました。

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被害を訴える職員(22日)

「僕が苦痛に感じたことを、まさに代弁してくれるような内容。東郷町の役場の中で起こっていることは、もう異常事態でしかないと強く感じました」

約6年にわたりハラスメントをしていたと認定された井俣町長。これまで一連の発言について謝罪はしつつも自身の“進退”については、第三者委員会の結果をもって判断したいとしていました。

井俣町長は、25日の全員協議会のあとで会見を開く予定です。