今月1日、水俣病の関係団体と環境相との懇談会で、環境省側が一方的にマイクの音を切り、発言を制止しました。伊藤信太郎環境相が8日、熊本県水俣市を訪れ、団体側に直接、謝罪しました。

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8日、熊本県水俣市の会見場は、“怒り”に包まれていました。

水俣病 関係団体

「水俣病被害者のことは、どうでもいいような。本当に、腹立たしい」

水俣病 関係団体

「マイクを切るなどという行為は、言語道断。許されない行為」

水俣病の被害者などの団体と、伊藤環境相の懇談の場で、団体側のマイクの音が切られた問題。8日、団体側が会見を開くと、その場に、環境省の職員が姿をあらわしました。

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環境省環境保健部・特殊疾病対策室 木内哲平室長

「(マイクを切るのは)わたくしの責任で行ったものです」

水俣病 関係団体

「えらいことになると、思っていなかったわけ? あなたは」

環境省環境保健部・特殊疾病対策室 木内哲平室長

「……」

しばらく、言葉は出ませんでした。

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公害の原点ともいわれる、水俣病。工場から出された水銀を含む廃水に魚介類が汚染され、それを食べた人たちが、手足のしびれやふるえ、まっすぐ歩けないなどの症状に見舞われました。

今も国などに対し、水俣病の認定や損害賠償などを求める人が相次いでいます。

1週間前の今月1日に、熊本で行われた懇談会。伊藤環境相が、被害者などの団体から話を聞く場として設けられました。そこには、今も続く、苦しい実情を訴える人たちの姿がありました。

水俣病 関係団体

「水俣病の公式確認から、68年になります。それなのに、まだまだ水俣病は終わりません」

水俣病 関係団体

「2014年の3月に出されました…」

環境省の担当者

「すみません。お話をまとめて…」

時間を気にし始めた、環境省側。さらに…

水俣病 関係団体

「前環境大臣に会っている」

環境省の担当者

「すみません。お時間でございます」

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実は、すべての団体が発言できるよう、事前に、発言は1団体3分というルールを定め、環境省は団体にも伝えていました。

水俣病患者連合 松崎重光副会長

「(妻は)去年の4月に、『痛いよ、痛いよ』と言いながら、死んでいきました」

水俣病患者と認められないまま、去年亡くなった妻のことを話す、松崎さん。

しかし──

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水俣病患者連合 松崎重光副会長

「水銀を垂れ流さなかったら、こういうことにはならんかったがねと、私はいつも家内と話していました」

環境省担当者

「申し訳ございません。話をおまとめください」

水俣病患者連合 松崎重光副会長

「……」

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話を遮られ、間を置きますが、再び話し始める松崎さん。しかし、声が聞こえません。与えられた時間を超え、環境省側によって、一方的にマイクが切られたのです。

会場からは――

「聞いてやれ〜な、大臣!」

環境省内では、少なくとも去年から、時間を超えた場合は“マイクを切る”という決まり事があったといいますが、団体側には、そのことを伝えていなかったといいます。

「音量しぼった、ということだね?」

環境省の担当者

「事務局の不手際でございました。誠に申し訳ございません」

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水俣病 関係団体

「マイクを切ったことは、どう思いますか?」

伊藤環境相

「私はマイクを切ったことについて、認識しておりません」

水俣病の関係団体側によると、マイクを切られたのは、3団体で3人いたということです。

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8日、伊藤環境相は…

伊藤信太郎 環境相

「水俣病は、環境省が生まれた原点です」

環境省がつくられるきっかけとなったのが「水俣病」です。それゆえ、今回の問題は“大変遺憾”だ、と謝罪しました。

伊藤環境相

「ですので…環境省の大臣なので、このことをいかに大切に思っているか、ということをお伝えしたいと」

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そして、8日午後5時すぎ、伊藤環境相は、熊本県水俣市へ。

伊藤環境相

「環境省の者が、発言中にマイクの音をしぼるという、大変申し訳ないことがありました。心からおわび申し上げたいと思います」

被害者などの団体に直接会い、謝罪の言葉を述べましたが、その責任を問う声もあがりました。

「同席しておられた、伊藤環境大臣の責任でもある」

伊藤環境相は、「3分は決して長い時間ではない。もう少し長い時間、話をする機会を検討したい」としています。