2023ー24年の期間内(対象:2023年12月〜2024年4月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。プロレス部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024年3月4日/肩書などはすべて当時)。
元警察官、筋トレYouTuberにセクシー女優の肩書を持つプロレスラーのちゃんよた。プロデュース公演の開催など活躍の場を広げるちゃんよたにインタビューを実施。後編では、「何かに役立てるという意識ではない」と語る筋トレの魅力や、理想の体型について聞いた。《NumberWebインタビュー第2回/前編から続く》多くのアスリートにとって、トレーニングは競技力を高めるためにやるものだ。筋トレも、その競技に必要な筋肉をつけるのが主眼。
プロレスで言えば、使う技によってトレーニングの内容も変わってくる。プロレスは観客がいて成り立つエンターテインメントでもあるから、肉体的な見栄えも必要だ。といって、飛び技が得意な選手が筋肉をつけすぎて大きくなっても意味がない。スピーディーな動きを重視して、筋トレは自重中心という選手もいる。
しかしちゃんよたは「自分の場合はプロレスのための筋トレというだけではないですね」と言う。
「何かに役立てるという意識ではないです」
筋トレの理由は「デカさへの憧れ」
もともと“筋トレYouTuber”として話題になった。セクシー女優としても、他とは違う独自の存在だ。いわば自分ありき。筋肉があってのYouTubeでありAV作品でありプロレスだ。
筋トレをすることでどうなりたいか。ストレートに「デカくなりたい」と言う。
「デカいってカッコよくないですか。性別とか年齢とか関係なく、デカさへの憧れってあると思うんですよ」
もちろん、デカさを目指さない筋トレもある。広く言えば、筋トレとは「なりたい自分の体」をデザインしていく作業だ。だから筋トレがブームになり、ジムが増えるのも分かるとちゃんよた。
「むしろ、なんでやらない人がいるんだろうって。そこまでお金がかかるわけじゃないし、いい体になってメンタルにもいい影響がある。何もマイナスがないんですよ」
筋トレをすると“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが分泌されるという。ちゃんよた曰く「筋トレをすると謎の万能感を得られるんです。マリオのスター状態みたいな」。
毎日筋トレ生活の悩み
午前中にトレーニングをすると、その後の予定も順調にクリアできるそうだ。ただ、筋トレをすすめるのは「やりすぎない限り、ですね」とも。
「週に3回ジムに行くくらいならいいんですけど、週5とかコンテストに出るとなると楽しいだけではなくなってくるので。腕が太くなってきたとか腹筋が割れてきたとかのレベルじゃないですからね。“なんで自分はもっとデカくなれないんだろう”という悩みが出てくる。もともとの骨格、体つきでどうしようもない部分も出てきますし」
たとえば、ちゃんよたは「肩幅が狭くて鎖骨が短い」のだという。普通に生きていたら、自分の鎖骨がどれくらい長いのかを気にすることもないだろう。
だからプロレスでリングインした時のダブルバイセップス(両腕で力こぶを作るポージング)も「実はちょっと申し訳ない」。
ちゃんよたの筋トレは「趣味でほどよく」のレベルを完全に逸脱している。
「オーバーワーク気味で、やればやるほどいいと考えるタイプですね。オフの日でもジムに行かないと不安になります。逆にいうと、ジムでちょっと筋トレするだけでも落ち着くんですよ。そういう時は好きな種目だけを一つ二つやります。
会社員の人だったら、決められた休みがあるじゃないですか。私の生活はそうじゃないので、休みの日も何もやらないと気がとがめるというか。ただ休んでいるのが不安なんでしょうね」
過去最高は「太もも64cm、体重69kg」
プロレスには「難しい技も練習したら一発でできた」というセンス抜群の選手もいる。けれど筋肉は一朝一夕につくものではない。その積み重ねをちゃんよたは愛しているのだろう。
「あそこまで筋肉があるとなぁ」とかどうとか、ネットで“値踏み”してくる者もいる。でも彼女の体は彼女のものでしかなく、ちゃんよたはデカくなりたいから時間をかけてトレーニングを重ね、デカくなった。
脚のトレーニングに力を入れた結果、太もも回りが64cmに達したことも。体重は69kgになった。そこから現在はボディコンテスト(下半身の発達を重視するウーマンズウェルネス)出場を目指して減量中だ。
「夏にいくつかコンテストに出ようと思ってます。出場の直前だと、体重は52kgにする予定ですね」
つまり体を絞りながらプロレスの試合もすることになる。ちゃんよたの肉体は今も変化、大きく言えば“進化”の過程にあるのだ。いずれ今より体脂肪が落ちて“バキバキ”になった肉体も見られるだろう。
「コンテストが終わったら、次は70kg以上に」
「筋肉を増やすためには、必要摂取量以上、オーバーカロリーの食事が必要です。そこから絞っていくんですけど、最終的にはバキバキというよりカリカリの状態になるでしょうね。軽くなるとパワーも減るし、プロレスにとってはマイナスではあります。ただ軽いから出せる技もあると思うので、そういうところも楽しみにしてもらえたら」
プロレスにはマイナスなことがあってもコンテストに出るのは“ちゃんよたとして生きる”ために必要なこと。そして「コンテストが終わったら、また増量に入ります。今回は最大69kgだったので、次は70kg以上になりたい」。
70kgになったらなったで、何か言ってくる人間はいるだろう。しかし誰に何を言われても、ちゃんよたがちゃんよたであることはやめられない。やはり、自分がなりたい自分になるしかないのだ。
《インタビュー前編から続く》
文=橋本宗洋
photograph by Takuya Sugiyama