こんにちは。後間秋穂です。今回は、「企業経営の新たなキーワード《ウェルビーイング》」について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

企業経営の新たなキーワード「ウェルビーイング」

後間
早速ですが、「ウェルビーイング」とは、どのような意味の言葉なのでしょうか。

宮里
「ウェルビーイング」は、「身体・精神・社会などあらゆる面において良好な状態」といった意味で、もともとはWHOが1946年に示した「健康」の定義において使われた言葉です。
国連が提唱するSDGsにも共通する概念として、欧米の企業を中心にこのウェルビーイングに注目する動きが出てきています。
長期的な企業経営には、従業員の心身の健康や幸福感の実現が不可欠、と考えられるようになってきたからです。

後間
従業員が心身ともに充実していることが、企業の成長の原動力につながるというわけですね。日本企業での導入は進んでいるのですか。

宮里
日本の企業でもこのウェルビーイングへの関心が高まってきていて、「健康経営」という形で従業員の心身の健康管理などに力を入れる例がでてきています。健康経営とは、企業が従業員の健康を資本としてとらえ、長期的な視点で従業員の健康に投資して、企業価値の向上を目指すものです。
そこにウェルビーイングの概念を組み入れて、従業員の心身の幸福を追求することは、業務効率化や、モチベーション向上による生産性の改善、さらには優秀な人材の獲得にも繋がります

経済産業省も、企業の健康経営の取り組みを推奨していて、2016年度から「健康経営優良法人認定制度」を設け、「健康経営」に取り組む企業の支援体制を強めています。
近年、中小規模の法人においても、健康経営優良法人の認定企業の数が年間1万件を超えるなど、取り組みが広がっていることがうかがえます。

健康経営優良法人認定制度の認定数(中小規模法人部門)

後間
日本でも広がりを見せているんですね。具体的には、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

宮里
健康の維持や増進といったものから、メンタルヘルスケア、キャリア支援やコミュニケーションの活性化、長時間労働への対策など多岐にわたります。
セミナーの実施や、「健康リーダー」の配置など、従業員同士が体調の変化に気づける体制を構築した企業もあります。社内コミュニケーションも円滑になって、今まで以上に働きやすい職場環境になっているということです。
健康経営によるウェルビーイングの実現は、会社側、従業員側、双方に多くのメリットがある施策と言えるでしょう。

ウェルビーイング実現に向けた企業取り組み例

宮里
こちらの2017年に経済産業省が就職活動中の学生とその親を対象に、どのような企業に就職したいか・させたいかをたずねた調査では、就活生、その親ともに「従業員の健康や働き方に配慮している企業」を上位に挙げており、就活生の1位の回答は、「福利厚生が充実している企業」でした。
企業にとって、自身の幸福感に重きを置く若い世代をつなぎとめるためにも、従業員のウェルビーイングを重視して健康や成長を第一に考え、支援していくことが、今後ますます重要になっていくと考えられます。

就活生とその親が企業に求めるもの

後間
今後の展望に期待したいですね。
今回は、「企業経営の新たなキーワード 《ウェルビーイング》」ついて宮里さんにうかがいました。