元自衛官というキャリアを生かしたネタやトークで人気となり、オリコンが毎年調査・発表している『2023年ブレイク芸人ランキング』年間1位となったお笑い芸人のやす子。人気者の証とも言える『映画 きかんしゃトーマス 大冒険!ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』(4月19日公開)のゲスト声優に抜てきされ、どんな大きな岩も削ってトンネルを掘るドリルが自慢の掘削機ダーシー役を演じている。

――オファーを受けた時は?

【やす子】最初は私のようなペーペーがやっていいのかな、という怖さもありましたけど、声優の仕事をやってみたかったので、「やったー!」という喜びが大きかったですね。しかも、世界中で愛されている「トーマス」の新キャラクターを任せていただけるなんて、めちゃくちゃ光栄に思いました。芸人になってよかった、と思った一つの瞬間ではありますね。

――でも、「ドッキリ」も疑ったそうですね?

【やす子】アフレコに行ったら、20人くらい入れる広いスタジオに1人、入れられたんです。やっぱりドッキリだったのかなぁ、と思いました。

――でも、ドッキリではなかった。本編を見たら、ダーシーが「はい〜」と登場して驚きました。

【やす子】そうなんです。「『はい〜』から入ってください」と言われて、ドッキリ確定だと思いました。世界のトーマスで「はい〜」という台詞はあり得ないと思って(笑)。でも、そのまま進んでいって。「少しオーバーにやってほしい」というのに応えるのが最初は難しかったんですけど、だんだん楽しくなって、最後まで。自衛隊で大型特殊免許と機械操作の免許を取って重機に乗っていたので、役に入り込むこともできました。ダーシーはピュアにお仕事を楽しんでやっている頑張り屋さんで、自分も今、楽しみが仕事しかないので、なんだか似てるなぁと感じました。完成した映画を見て、とてもうれしかったです、はい〜。

――ダーシーにやす子さんの声もぴったりだと感じました。

【やす子】ダーシーと自分が似ていると感じたところの一つが、一生懸命やっている中で、わざとではないけれど、ものを壊してしまうことがあるところ。自分もセットを壊してしまったり、ほふく前進している時にマイクの線をちぎってしまったりしたことがあったんです。その話をしたら、(同じくゲスト声優の)ディーン・フジオカさんが、「ダーシーが壊して、ウィフ(※)がリサイクルして新しいものを作っていく、そういう関係性もいいよね」とおっしゃっていたのも印象的でした。

※ディーン・フジオカが担当したウィフは、リサイクル工場で発明をしている丸いメガネの機関車。

――ダーシーのテーマソング「はたらきもの いちばん!」も歌っていますね。

【やす子】音楽を聴くのは好きなんですが、人前で歌うのが恥ずかしくて、カラオケも苦手なんですけど、「はたらきもの いちばん!」の歌詞にすごく共感して歌うことができました。最初はトーマスのファンの方に受け入れてもらえるか心配だったんですけど、エゴサーチしたら「元気が出る」といったコメントを見つけてうれしかったです、はい〜。

――昨年は「300連勤以上」の怒とうのスケジュールだったそうですが、それでも「仕事が好き」「楽しみが仕事ぐらいしかない」と言えるのは?

【やす子】どんな仕事をしていても居心地の良さを感じられるからですかね。自分に合う場所を見つけるまでは確かに大変でした。アルバイト先を15回クビになって、借金もして。でもこうして見つけられたのは幸運だと思っていますし、これからも頑張るので「仕事ください!」って感じですかね、はい〜。

――ブレイクしたその先に新たに突き破って行かなければならない壁や殻があるかもしれないですが、ダーシーのように掘り進んで、突破していってほしいです。

【やす子】ありがとうございます。壁って、意外と越えてみないと本当の厚さとか高さがわからないものですからね、はい〜。

――声優をやってみたい、という願いがかなったところで、ほかにありますか?言っておくと叶うかもしれない。

【やす子】うわー。何だろう…、ラジオをやりたいです。それと、ダーシーがレギュラーキャラクターになったらまた呼んでください!

――最後に、『映画 きかんしゃトーマス 大冒険!ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』を通して伝えたいメッセージは?

【やす子】こどもたちはもちろん、大人の方が見ても、挑戦してみようかな、頑張ってみようかな、と思える素敵な映画です。心にしみます、はい〜。

ヘアメイク:タカダヒカル(PARADE)
スタイリスト:飯嶋久美子(POTESALA)