来週14日にフランスで開幕する「第77回カンヌ国際映画祭」(25日まで)の「ある視点」部門に正式出品される奥山大史(おくやま・ひろし)監督の最新作『ぼくのお日さま』のワールドプレミアとなる公式上映が、現地時間19日午後2時に決定。あわせてカンヌ版ポスターが解禁となった。

 同映画は、田舎町のスケートリンクを舞台に、吃音のあるアイスホッケーが苦手な少年タクヤ(越山敬達)と、選手の夢をあきらめたスケートのコーチ荒川(池松壮亮)、コーチに憧れるスケート少女さくら(中西希亜良)の3人の視点で紡がれ、雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない小さな恋の物語を描く。監督の奥山が、撮影、脚本、編集も手がけている。

 解禁となったカンヌ版ポスターは、共同製作のフランスで作られたもの。一面、氷がはった湖の上で、スケート靴を履いたタクヤ、さくら、そして荒川の3人が、同じ方向にある「お日さま」を見つめる表情を切りとったもの。本作の英題『MY SUNSHINE』のタイトルが記され、柔らかで美しい空気感が3人を包み込むビジュアルになっている。

 今年のカンヌ国際映画祭は、是枝裕和監督がコンペティション部門の審査員として参加することでも話題になっており、また、オフィシャルセレクションへの選出は、『ぼくのお日さま』が日本作品で唯一となっている。「ある視点」部門の最優秀作品賞、審査員賞、監督賞などの賞の対象となり、これまで同部門では、黒沢清監督が2008年に『トウキョウソナタ』で審査員賞を、15年に『岸辺の旅』で監督賞を、16年には深田晃司監督が『淵に立つ』で審査員賞を受賞している。

 本作が同部門で最優秀作品賞を受賞すれば、日本映画史上初の快挙となる。「ある視点」部門の授賞式は現地時間24日に行われる。なお、同映画の劇場公開は9月に予定されている。

■カンヌ国際映画祭「ある視点」部門への主な出品作

1994年 『ソナチネ』北野武
2008年 『トウキョウソナタ』黒沢清監督
2009年 『空気人形』是枝裕和監督
2012年 『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』若松孝二監督
2015年 『岸辺の旅』黒沢清監督、『あん』河瀬直美監督
2016年 『海よりもまだ深く』是枝裕和監督、「淵に立つ』深田晃司監督
2017年 『散歩する侵略者』黒沢清監督
2022年 『PLAN 75』早川千絵監督