五十肩は、その名の通り50代に多く見られる病気。肩が痛くて眠れない、服を着替えるのがつらいなど生活に支障をきたします。五十肩の症状や原因、治し方を解説します。

肩関節が硬くなる五十肩とは

五十肩は、肩が痛み、関節の動きが悪くなる病気です。「四十肩」「肩関節周囲炎」「凍結肩」ともいわれます。五十肩は中年以降、特に50代に多く見られ、男性よりも女性にやや多い傾向があります。また、糖尿病がある人はそうでない人に比べて五十肩を発症する確率が高いといわれています。

肩がズキズキ痛い! 五十肩の症状

五十肩の症状の特徴をまとめました。

五十肩の症状

五十肩には次のような症状があります。日常生活では、服を着替える、頭を洗う、洗濯物を干すなどの動作をつらいと感じる人が多いようです。

● じっとしていても肩が痛む
● 夜間になると肩の痛みが強くなる
● 肩にこわばりがある
● 肩を動かすと痛む
● 肩を自由に動かせない

症状は段階的に変化する

五十肩の症状は段階的に変化していくのが特徴で、「急性期」「拘縮期(こうしゅくき)」「回復期」の3段階に分けられます。五十肩を発症してから回復にいたるまでは、およそ5か月から2年ほどかかるといわれています。

 ◆「急性期」の症状
安静にしていても痛みがあり、特に夜間の痛みが強く出る時期。ときには眠れないほど強く痛むこともあります。

◆「拘縮期」の症状
拘縮とは、関節が硬くなり動かしにくくなった状態のこと。拘縮期になると徐々に痛みが引いてきますが、肩の動きに制限が残ります。

◆「回復期」の症状
肩の動きが少しずつ改善していく時期です。

五十肩の原因

五十肩の原因は完全には解明されていませんが、肩関節の周囲の組織に炎症が起こることが原因と考えられています。肩関節の周りにある滑液包(かつえきほう)や関節包(かんせつほう)が癒着すると、さらに肩を動かしにくくなります。

五十肩の診断方法

五十肩は、40代から60代で、明らかな原因がなく、肩の動きに制限があり、肩の痛みを引き起こすほかの病気(「腱板断裂」「変形性肩関節症」「石灰沈着性腱板炎」など)がない場合に診断されます。診断のためには検査をして見極める必要があります。検査方法は、レントゲン検査、関節造影検査、MRI、超音波検査などです。

肩の痛みを引き起こすほかの病気

肩の痛みを引き起こす病気は五十肩のほかにもさまざまなものがあります。ここではよくある病気をご紹介します。

◆腱板断裂(けんばんだんれつ)
腱板と呼ばれる筋肉が切れて痛みが生じる病気。40代以降に多く見られます。

◆変形性肩関節症
骨が変形して痛みや動かしにくさが生じる病気

◆石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)
腱板に石灰がたまり、痛みが生じる病気。40~50代の女性に多く見られます。

治療は段階に応じて行う

五十肩の治療は段階に応じて行います。

◆「急性期」の治療
急性期は痛みが強く、消炎鎮痛剤の内服や注射などの薬物療法で経過を見ていきます。安静にするために三角巾やアームスリングで腕を吊るすこともあります。 「拘縮期」から「回復期」の治療
拘縮期から回復期は、温熱療法や運動療法などのリハビリを行います。リハビリと薬物療法を併用して行うことも多いです。運動やストレッチは少しずつ行い、動きが改善してきたら徐々に強度を上げていきます。やり過ぎたり少な過ぎたりすると逆効果になってしまうことがあるので、症状や状態に合わせた強度で行うことが大切です。

 これらの治療を行っても改善しない場合は手術をすすめられることがあります。五十肩は自然に治ることもありますが、放置すると生活に支障をきたすほか、関節が動かしにくくなります。

(まとめ)
五十肩はつらい症状を伴う病気ですが、適切な治療を受けることで症状をやわらげ、よい経過をたどりやすくなります。症状があれば医療機関を受診しましょう。


構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
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