【ロダン】たとえば、大学の入りやすさじゃなくて、大学卒業後の進路が気になる人もいるでしょ? どの大学に入れば、どのくらいのレベルの会社に就職できるのかを知りたい人、とくに親に向けては、いくつか大学の就職ランキングが次の通り発表されています。

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【有名企業400社実就職率ランキング 2023年卒】
1.豊田工業大学
2.一橋大学
3.東京工業大学
4.慶応義塾大学
5.名古屋工業大学
6.東京理科大学
7.電気通信大学
8.九州工業大学
9.名古屋大学
10.大阪大学
(出典:大学通信ONLINEより)

【人事が評価する大学 就職力ランキング 2023-2024】
1.京都大学
2.名古屋大学
3.名古屋工業大学
4.横浜国立大学
5.一橋大学
6.東北大学
7.大阪大学
8.大阪府立大学
9.東京外国語大学
10.神戸大学
(出典:日経キャリア教育キャリエデュより)

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【ミナト】顔ぶれが全然ちがう!

【ロダン】それだけ世の中には情報があふれているということです。そして、だれもが納得するような能力の測定方法はないから、こうした評価基準やランキングは、どんどんふえていきます。これをメリトクラシーの再帰性といって、能力主義社会ではさけられない宿命みたいなものなんです。

【ミナト】情報がいっぱいありすぎて、どれが正しいかわからない。

【ロダン】親たちは、そうした情報を見比べながら、ああでもない、こうでもないと頭をなやませています。つまり、ズルさの背後には、お父さん、お母さんの不安がかくされているわけです。

それは、自分にできなかったことを子どもにおしつけているというよりは、むしろ、自分がした苦労を子どもにはさせたくない、わが子には幸せになってほしいと願っているからじゃないでしょうか。あなたたちは、そうした親の思いも、そろそろわかってあげられる年齢になってきたんじゃないかな。

【ナギサ】親も不安なんですね。

■佐藤優
1960年、東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。現在は執筆や講演、寄稿などを通して積極的な言論活動を展開している。