nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。
今回は、チェコの絵本作家・ペトル・ホラチェック氏による一冊、『さいこうにさいこうのプレゼント』を、4歳の息子に読み聞かせてみました。


今回読んだ絵本はこちら

『さいこうにさいこうのプレゼント』(化学同人)
作: ペトル・ホラチェック 訳: 青山 南
対象年齢::3・4・5歳〜

ふたりの空想が止まらない!

お互いの誕生日プレゼントにと、羽とビー玉をおくりあうカルロとロルカ。
ささやかなプレゼントですが、ここから広がる空想の世界がとにかく壮大です。

「ほんとうは(羽ではなく)その鳥をあげたいんだ」「(ビー玉ではなく)宇宙をあげたいんだ」といった具合に、理想のプレゼントを語り合うふたり。
そして巨大な鳥に宇宙にと、ページをめくるたびに現れる大迫力の画面。

最初は「何が起きているんだ??」という顔をしていた息子も、色彩豊かなイラストに引き込まるように、すぐに物語の世界に入っていきました。

ウミノカイブツという架空のモンスターも出現。
これは怪獣ブームの4歳児のツボに見事ハマったようです。
「これはどういう生き物なの?」と生態を聞かれたので、想像力を振り絞って答えました。こんなやりとりも楽しいものです。

他にも海のクジラなど、「このページ好きそう」という箇所でまんまとよろこぶ我が子。なんとわかりやすい。


「お願い、やめて!」と叫びたくなるシーンも

前半の空想の世界が広がるシーンは、この絵本の最大の魅力と言えるでしょう。
しかし意外なことに、わが家の4歳児が一番目を輝かせたのはこちら。
外が雨であることに気付いたカルロとロルカが、雨の中で遊びだすシーンです。

傘を持ってはいるものの、もはや役目を果たしていません。

「お願い、やめて!!!」
「風邪をひくし、汚れるから!!!」
と、親目線でつい叫びたくなってしまいますが、カルロとロルカのなんとまあ楽しそうなこと。
息子はキラキラとあこがれのまなざしを向けていました。
今後、雨の日には「どうか真似はしないで……」と祈るしかありません。


「きょうが さいこうの プレゼント」

さてこのふたり、最後はちゃんと泡のお風呂に入って、あたたかい飲み物とともにバースデーケーキを楽しみます(一安心)。

そして、
「きょうは さいこうに たのしかったね」
「きょうが さいこうの プレゼントだった」
と、満ち足りた気持ちで眠りにつくのです。

空想を楽しみ、思い切り遊んで、おいしいものを食べ、安心して寝る。
きっと、小さな子どもの考える「最高の一日」って、こんな感じなんでしょうね。
大人はつい子供に「より良いもの」「より良い経験」を与えたくなってしまいますが、子どもはささやかなことでも充分幸せになれるのかもしれません。

子どもにはこの先、「きょうが さいこうの プレゼントだった」と思えるような日をたくさん過ごしてほしいものです。
そして私も、そんな一日を子どもと一緒に楽しめる親でありたいなと思いました。
そう、たとえ雨の中で、傘をささずに遊ぶことになったとしても……。

(nobico編集部・セコリ)