PRESIDENT Online 掲載

家の片づけはどこから手を付ければいいのか。家計アドバイザーの下村志保美さんは「空き缶や紙袋、ラッピング用品などを『いつか使うかもしれない』と取っておく人が多いが、結局使わないことがほとんど。収納に場所を取るものは大胆に処分したほうがいい」という――。

※本稿は、下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

■「安くてお得」がスペースを圧迫する

私はいつもお客様に「片づけは、ご自身にとって大切なものを見つける最高のトレーニングなんですよ」とお伝えしています。それは、お金が貯まることにも直結しています。「どういうこと?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

私は片づけとは、「使っているもの」と「使っていないもの」、「好きなもの」と「好きじゃないもの」を判断する行為だと考えています。部屋中がものであふれているお客様の相談を受けていると、皆さん、口をそろえて「でも下村さん、これ安かったんですよ〜」、「これはすっごくお得に買えたものなんです」とおっしゃいます。

“安い”&“お得”。確かにいい言葉ですよね。私も決して嫌いではありません(笑)。でも“安くてお得”は生活の豊かさと必ずしも直結しているとは限りません。むしろ“安くてお得”だからと買ったグッズが部屋中にあふれかえっていたら……?

ものを置くスペースで部屋は狭くなり、ちまちまと安いものを買うだけで、お金は出ていくばかりです。いつの間にか“高くて不便の塊”に転じてはいないでしょうか?

■「物置部屋」があると555万円の損?

現代人の暮らしの中で、一番お金がかかるのは場所代です。

ここで、必要ではないけれども、なんとなく部屋を埋めつくしているもののコストがどれぐらいになるのか考えてみましょう。

例えばあなたが70平米・4000万円で購入した3LDKのマンションに住んでいるとします。そのうち6畳分の一部屋を「使っていないもの、整理しきれていないもの」の置き場所に使っているとしたら……?

4000万円(スペースの総価格)÷70m2(総スペース)=約57万円(広さに対する価格)。57万円×9.72m2(6畳分のスペース)=約555万円。つまり555万円分を、要らないものに費やしていることになります。

「6畳一間が納戸になっていると555万円の損失」というショッキングな事実を心に留めていただきたいと思います。