今月ワールドカップ2次予選で北朝鮮とホーム&アウェイで対戦する日本代表。14日(木)に最新の代表メンバーが発表された。

一番のトピックは、オランダのNECで活躍している小川航基の4年半ぶりの復帰だ。

代表エースであるフェイエノールトの上田綺世が今季1得点にとどまっていることを考えれば、同じオランダの地で公式戦12得点を決めている彼の復帰は当然といえるだろう。

大器の挫折と復活



小川は、あの中村俊輔を輩出した桐光学園の出身。身長186cmで足元も上手い彼は“高校ナンバーワンFW”と騒がれ、10代の頃から将来を嘱望された逸材だった。

しかしジュビロ磐田で始まった彼のプロキャリアは挫折と苦悩の連続で、エースとして臨んだ2017年U-20ワールドカップのグループ第2節ウルグアイ戦で左膝の前十字じん帯断裂および半月板損傷の大ケガを負い、1年近くを棒に振った。



その後、期限付き移籍した水戸ホーリーホックで復活し、2019年12月に行われたE-1選手権で日本代表に初招集。香港とのデビュー戦でハットトリックという偉業を成し遂げた。だがあくまで国内組限定のE-1であり、その後彼の名前がA代表で呼ばれることはなくエース候補だった東京五輪のメンバーからも落選した。

転機となったのは2022年、高校の先輩である中村俊輔も所属したJ2・横浜FCへ完全移籍だ。

この年横浜FCはJ2優勝とJ1昇格を成し遂げたが、小川はトップとシャドーで併用されながら26得点を決めてJ2得点王に輝いたのだ。J1復帰となった翌シーズンも好調を維持すると、夏にはオランダのNECに移籍。海外初挑戦となったがここでもゴールを重ね、およそ4年半ぶりの代表復帰へとこぎつけた。

日本代表への覚悟



Qolyでは、小川が横浜FCに所属していた2022年10月にインタビューを実施している。当時J2でゴールを量産していた彼にはワールドカップを控える代表への待望論があり、その質問をぶつけるとこのような答えが返ってきた。

「(日本代表の)一番前は固まっていない感じがあります。見てて『難しいだろうな』と思うこともありますけど…僕でも全然そこのポジションを担うというか、それぐらいの覚悟はありますしできる自信もあります」



日本代表は近年スピード型の選手を重用しており、大型の選手が選ばれていない現実がある。

それについても、「スピード型の選手が結果を残して代表に上り詰めただけであって、僕自身が結果を出してそこまで行けば、大型の選手がFWで起用されることも全然あると思う。そこは結果を出したもん勝ちかなとは思いますね」と意に介さなかった。

大迫勇也の後継者に



小川は中学生の頃まではトップ下でプレーしており、父親の指示でとにかく両足でのシュートを練習していたという。それが彼の高い決定力に繋がっているようだ。

また、参考にしていたのはあの選手だったという。

「小さい頃はそんなにいなかったですけど、年齢が上がっていくにつれて日本だったら大迫(勇也)選手のプレーを参考にしていました。『キープできて、点を取れる』のが本当に良いフォワードだと思ってたので。大迫選手や海外ならレヴァンドフスキやルイス・スアレスを参考にしてます」

代表の名波浩コーチは、自身をジュビロ磐田に誘ってくれた恩師になる。恩師のもと、近年の代表に欠けていた高さとポストプレーという武器で新たな景色を見せてくれるだろうか。

インタビューの最後に小川は力強くこう語ってくれた。「僕のストーリーというか僕のサッカー人生はここからどんどん上に登っていくと思っている」。

26歳になった大器の新しいストーリーに期待しよう。