4月24日には愛知県東郷町の井俣憲治町長が、25日には岐阜県池田町の岡﨑和夫町長がそれぞれ辞職願を提出しました。 その理由がハラスメントでした。 自治体のトップのみならず、職場からハラスメントをなくすにはどうすればよいのでしょうか? 4月27日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーがハラスメント問題の原因や予防策について解説します。

     

2時間以上に及んだ会見

岐阜県池田町の岡崎和夫町長が20年前から町長室で女性職員に触れる、抱きつくなどのセクハラ行為をしていたことが発覚し、辞職しました。
愛知県東郷町では井俣憲治町長がパワハラ・セクハラ・マタハラ認定などで辞意を表明。
また3月には岐阜県岐南町の小島英雄町長もハラスメントにより辞職しています。

大石「全部この地方。情けない話ですけどもね」

女性職員15人へのセクハラ行為が発覚した池田町長の調査報告書には「二の腕をマッサージ」などの記載がありました。

また、問題発言のあった東郷町長は、108人が「セクハラやパワハラなどのハラスメントを受けた」と認定されました。

大石「当人たちからすると『許せなかった』という話でした」

2時間20分に及ぶ東郷町長の会見では「反省しているように見える場面と、反省していないように見える場面があった」と振り返る大石。
職員によると半年間、反省の態度は見られなかったそうです。

「ハラスメントと取られないよう意識はしていたつもり」と弁解する東郷町長。
20時間以上のハラスメント研修を受け、「(半年前は)ハラスメントの定義を尋ねられても明確に答えられなかったが、今はちゃんと答えられる」と変化の兆しもあったそう。

慣れ合いの関係が仇に…

各調査報告書では、ハラスメントの原因と背景が挙げられていましたが、東郷町の場合、原因のひとつは「厳しい指導とパワハラの誤解」。

大石「厳しい指導ってパワハラなくてもできるよね」

また「不必要な見下し発言」「コミュニケーションの取り方が間違っている」という指摘も。
幹部40人の9割以上が町長の小・中・高校の同窓生で、慣れ合いの関係だったようです。

大石「友達感覚があったんでしょうね」

東郷町長に対して「コミュニケーションのあり方を勘違いしていた節がある」と大石。

また、自らの公約を達成したいがために、職員に対してより厳しくあたっていたり、「副町長の理解・認識不足」もありました。
「町長の歯止めになっていなかった」と認める苦情処理委員会トップの副町長。

大石「苦情があったとしても、それを吸い上げる機能はなかったと言える」

大事なのは「風通しの良い職場」

そして、職員たちが受けていたハラスメント研修を「町長自身が受けていなかったことが大きな問題」と大石は指摘します。

大石「本当に受けるべきはトップなんですよね」

一方、池田町の調査報告書で挙げられていた原因は「町長の認識不足」。
セクハラに該当すると認識した上で行為に及んでいたと指摘します。

他に挙げられたのは…
「権力構造」。6期20年の町長に職員が声を上げられなかったこと。
「職員の研修が不十分」で周囲が気付けなかったこと。
「相談窓口の機能不全」。3つもあった相談窓口がそもそも知られていなかったこと。

大石「この問題はね、僕は結構、根深いなと思いましたね」

では、ハラスメントをなくすにはどうすればよいのでしょうか?

自治体トップが研修を受けることが何より重要と大石。
ただ、トップが変わったとしても、組織体質の問題は残ります。
池田町の被害者の方も「無関心を貫く職場だった」と証言していました。

大石「トップばかり変わっても無関心では同じことが起きますから。職員の皆さんもしっかり研修する。風通しの良い職場にする。これが一番大事!」

行政に限らず、あらゆる職場でハラスメントをなくす術を考えてほしい、と結ぶ大石でした。
(nachtm)