客が店や企業に対して理不尽なクレームや暴力などを行使するカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」が大きな社会問題となっています。 朝日新聞の記事によれば、小売りやサービス業などの労働組合UAゼンセンの愛知県支部が16日、悪質な行為を罰することができる条例を制定するよう愛知県に要望したとのことです。 5月17日放送『CBCラジオ #プラス!』では、かつて実際にカスハラを受けたことがあるという山内彩加アナウンサーが、このニュースを取り上げました。

     

バイトでのカスハラ体験

山内が大学時代にパン屋の店員としてアルバイトをしていたのですが、そこでは一般的なパン屋と同様、お客さんが自分が食べたいパンをトングで取ってトレイに乗せ、レジに持っていくという仕組みでした。

ところがバイトの初日、60代ぐらいで高身長の威圧的なおじさんの客が、トングも何も持たずにいきなり山内に向かってきて、「ちょっとちょっと、そこのお嬢ちゃん。あのパンとあのパンとあのパンを全部持ってきて!それで会計するから」と言ってきました。

山内はバイト初日だったため、「ここのパン屋は店員が持ってくるルールなのか?でも他のお客さんは自分で持ってきてる」と思い混乱しましたが、店長さんに確認しようにも店長さんはいない。

1人でどうしようと焦ったままの状態でいる中「おいお前!チンタラすんなよ」と罵声を浴びせられてしまったため、パン屋さんで働くのが怖くなってしまったそうです。

カスハラが原因で退職も

結局、半年の中で3回ほどしかシフトに入れず、辞めてしまいました。

実際にカスハラの経験を受けた山内が、冒頭に紹介したニュースを新聞で読んだ時に、「私みたいなカスハラの経験を受けて、心身の不調を訴えて辞めたいと思う人は多いんじゃないか」と実感。

特に不特定多数のお客さんを相手にする飲食店などのサービス業の方は、経験が多いのではないでしょうか。

せっかく好きな仕事に就けても、理不尽な客の言動が原因で仕事を辞めてしまったという方も少なくないかもしれません。

AI技術で精神的負担を軽減

このニュースとは別に、カスハラ対策の1つとして、ソフトバンクが15日、AI技術を活用したカスハラ対策について、開発中であると発表しました。

コールセンターに向けて怒鳴る客は少なくなく、入社1年以内で71%以上が離職してしまうという企業が、全体の2割以上という統計もあるほど、精神的にかなり負担が大きくなってしまっています。

この技術は、電話で怒鳴ってきたお客さんの声を穏やかなトーンの声に変換するというもので、話している内容や口調が変わるわけではないものの、音声が変わるだけで心理的な負担もかなり変わるかもしれません。

竹地祐治アナウンサーはカスハラが増えている原因として、「世の中が不寛容になってきて。あおり運転とかも結局同じだと思いますけど、すぐにカチンときてということが多いと思うので、そういう場合にAIはいいですね」とコメント。

AI技術で精神的な負担を減らすのと同時に、法律の制定などでカスハラ自体を減らすための対策を行うのと、両輪の対応が必要ですね。
(岡本)