中国メディアの環球時報によると、再生可能エネルギー関連プロジェクトの立ち上げ、開発、投融資を専門とするシンガポールのEagleREグループの最高経営責任者(CEO)、Kelvin Pooh氏は、中国の新エネ製品のよりどころについて、「低価格」ではなく「長年にわたり蓄積した全産業チェーンの強み」だとの認識を示した。

環球時報によると、シンガポール華字メディアの聯合早報に28日付で掲載された記事は、「過剰生産能力」が4月以降、中国と欧米諸国が矛を交える新たな分野になっているとし、「わずか1カ月の間に、過剰生産能力をめぐる論争は、電気自動車(EV)、ソーラーパネル、リチウム電池などの新エネルギー製品から、鉄鋼やアルミニウムなどの伝統産業にまで拡大した。中国政府は、不動産市場の低迷による経済への打撃を相殺するため、投資を先端製造業に移し、新エネ製品の生産と輸出を後押ししている。不動産市場の低迷も鉄鋼や建材の販売不振に拍車をかけ、海外市場に目を向ける鉄鋼メーカーが増えている」と伝えた。

その上で、中国のシンクタンク、中国社会科学院世界経済・政治研究所国際政治経済学研究室の馬濤(マー・タオ)副主任が「中国の鉄鋼生産量は主に国内の経済発展の需要を満たすもので、生産全体に占める輸出の割合は5%前後にすぎず、日本や韓国の輸出割合に比べればはるかに低い」とし、「中国の過剰生産能力を非難するのは的外れだ」との認識を示していると伝えた。

また、中国事業が全体の9割超を占め、欧州と中央アジアに中国製の太陽電池などの半製品を輸出しているEagleREグループのKelvin Pooh氏が「中国の新エネ製品は低価格に頼って勝ちを収めるのではなく、長年にわたり蓄積した全産業チェーンの強みに頼っている。太陽光発電、風力発電、EVなど、中国のように全チェーンの生産を把握している国は今のところ他にない。ある国にとって、中国から製品を輸入しないとしても、中国製の半製品をまったく使用しないことは不可能だ。完全なデカップリングのコストは非常に高額だ」との認識を示していることも取り上げた。(翻訳・編集/柳川)